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奇妙なお礼 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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不思議な落とし物

大学生の悠斗(ゆうと)は、バイト帰りの夜道を歩いていた。

ふと足元を見ると、古びた小さな木箱が落ちている。

「誰かの忘れ物か?」

拾い上げてみると、思ったよりもずっしりと重い。

箱の表面には、何か文字のような模様が刻まれていたが、摩耗して読めなかった。

気になったが、交番はもう閉まっている時間だったので、とりあえず家に持ち帰ることにした。

木箱の中身

部屋に戻り、机の上に置いた木箱を改めて観察する。

錠前のようなものはなく、簡単に開きそうだった。

「まあ、中身だけ確認しておくか……」

そっと蓋を開けると——

中には、古い銀貨のようなものが何枚も入っていた。

「……骨董品?」

表面には異国の文字らしきものが彫られている。

しかし、不思議なことにどのコインもピカピカに磨かれていた。

まるで、今誰かが手入れをしていたかのように。

夢の中の訪問者

その夜、悠斗は奇妙な夢を見た。

ぼんやりとした月明かりの中、誰かが立っている。

背の高い、黒い着物を着た男だった。

顔は影になって見えないが、じっとこちらを見つめているのがわかる。

そして——

「……お礼、します……」

低く響く声が、悠斗の頭の中に直接流れ込んできた。

「お礼……?」

何のことだかわからない。

そう思った瞬間——

夢が途切れ、目が覚めた。

奇妙な変化

翌朝、いつも通りに起きて大学へ向かう。

だが、道を歩いていると、妙なことに気がついた。

やたらと運がいい。

・信号がすべて青で渡れる
・バス停に着いた瞬間にバスが来る
・財布の中にあるはずのなかった5000円札が入っていた

「……まさか、あの夢の『お礼』ってこれか?」

思い返せば、夢の中の男は木箱のコインに似た装飾の帯をつけていたような気がする。

「なんだか気味が悪いな……」

そう思いながらも、特に害があるわけでもないので、深く考えないことにした。

もう一つのお礼

しかし、その日の夜、また同じ夢を見た。

黒い着物の男が、今度は少し近くに立っている。

そして——

「……次のお礼、します……」

「次?」

すると、悠斗の目の前に見覚えのある人物が現れた。

それは——

数年前に事故で亡くなった親友だった。

驚いて声をかけようとしたが、その瞬間——

「お礼、しました……」

という声が響き、悠斗は目を覚ました。

ありえない出来事

翌日、大学の帰り道で悠斗は凍りついた。

踏切の向こう側に——

昨日の夢で見た親友が立っていた。

「……そんな、バカな……」

見間違いかと思ったが、確かに彼だった。

しかも、悠斗の存在に気づいたのか、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

足がすくみ、声も出せない。

親友は目の前まで来ると、微笑みながら言った。

「お前のおかげで戻ってこれたよ。……ありがとう。」

悠斗は理解した。

「お礼」って、そういう意味だったのか……?

しかし、嬉しさよりも得体の知れない恐怖が胸を締め付ける。

木箱の行方

家に帰ると、すぐに木箱を確認した。

だが——

どこにも見当たらなかった。

部屋中を探しても、まるで最初から存在しなかったかのように消えていた。

その日以来、夢の中の男は現れず、親友もあの日を最後に姿を見せなくなった。

「あの『お礼』は、何だったんだ……?」

それから悠斗は、二度と落とし物を拾わないと心に決めた。

——それが、どんなに価値のあるものだったとしても。



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