目次
【玉響神（タマユラノカミ）とは？】
玉響（たまゆら） とは、「ほんの一瞬」「かすかに触れる」という意味を持つ古語である。
伝承によると、玉響神（タマユラノカミ）様 は、「一瞬の運命を司る神」 であり、出会った者の人生に微細な変化 をもたらすと言われている。
しかし、その変化は良いものとは限らない。
わずかな選択のズレが、取り返しのつかない悲劇を生むこともある のだ。
そんな玉響神様を祀る神社が、ある村には存在していた——。
【封じられた神社】
大学生の 健斗（けんと） は、オカルト好きな友人 悠馬（ゆうま） に誘われ、ある廃村 にやってきた。
「ここ、昔『玉響神様』って神様を祀ってたらしいぜ」
「……聞いたことないな」
「まぁな。でも、この神様の伝説、ヤバいんだよ」
悠馬がスマホを見せる。
そこには、ある逸話が載っていた。
「玉響神様の神社へ行き、拝殿の戸を開けてはならない。
さもなくば、一瞬の選択が死を招く。」
「つまり、『開けたら呪われる』系か？」
「そういうこと！」
悠馬は興奮気味に神社へ向かう。
しかし、到着した神社は想像以上に異様な雰囲気 を放っていた。
鳥居は朽ち、社殿には無数の 注連縄（しめなわ） が張られている。
まるで何かを閉じ込めている かのように——。
【禁忌を破る】
「なあ、やっぱやめとこうぜ」
「何言ってんだよ、ここまで来たんだぜ？」
悠馬はためらうことなく、拝殿の戸を引いた。
ギィ……
重い音を立てて、扉が開く。
——その瞬間だった。
「選べ」
どこからともなく、低く響く声 が聞こえた。
「……え？」
「お、おい……なんだこれ」
拝殿の中には、鏡のような 水面（みなも） が広がっていた。
それはまるで、別の世界 を映しているかのようだった。
——そして、水面の中の「もう一人の自分」が、こちらをじっと見つめていた。
「選べ。お前の運命を。」
【狂い始めた世界】
次の瞬間——
「バシャァン！！」
水面が弾け、何か が健斗の手を引っ張った。
「うわあああっ！！」
視界が歪む。
意識が飛び、気づけば——
健斗は、見知らぬ道の真ん中に立っていた。
「……どこだ、ここ？」
周囲を見回すと、景色はどこか違和感がある。
自分の服が逆向き になっていた。
ポケットに入れていたスマホを見ると、画面の文字がすべて反転 している。
「なんだこれ……」
慌てて悠馬を探すが——
どこにもいない。
いや、それどころか 人の気配すらしない。
——自分は、一体どこにいるのか？
【玉響神様の試練】
「……帰らなきゃ」
焦る健斗の耳元で、あの低い声が響いた。
「お前の選択が、運命を決める。」
選択？
何を選べばいい？
必死に考えるが、答えは出ない。
だが、一つだけ確信できることがあった。
——ここは、元の世界ではない。
目の前に、再び神社が現れる。
健斗は、迷わず拝殿へ走り込んだ。
もう一度、水面の前に立つ。
すると、鏡のような水面に——
自分がいた。
だが、向こうの「自分」は……
にやりと笑った。
「交代しようか？」
「……っ！」
背筋に冷たい汗が流れる。
ここで答えを間違えれば、元には戻れない——そう直感した。
「俺は、戻る！」
水面に手を突っ込むと——
一瞬、視界が暗転した。
【元の世界？】
気がつくと——
健斗は、神社の前に倒れていた。
「……戻った？」
辺りを見回すと、悠馬が立ち尽くしていた。
「おい、悠馬！無事か？」
しかし、悠馬はゆっくり振り向き……
「……誰？」
「は？」
「……お前、誰？」
健斗は、全身が凍りつくのを感じた。
ここは、本当に"元の世界"なのか？
それとも——
「ほんの一瞬のズレ」 が、生涯戻れない運命を作り出したのか？
玉響神様がもたらした運命のズレは、決して元には戻らない——。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル！
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中！【DMMブックス】
ロリポップ！
ムームーサーバー
新作続々追加！オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
 | 新品価格 |
 |
 | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |
