目次
玉響神 (タマユラノカミ)様とは
玉響神(タマユラノカミ)様とは、古くから伝わる刹那の神である。
「玉響(たまゆら)」とは、一瞬のきらめきやかすかな音を指す言葉だ。
玉響神様は、その名の通り、一瞬の出来事に宿る神とされる。
・突然消える影
・ふと感じる視線
・耳元で囁くような声
こうした、気のせいかもしれないと思う瞬間こそ、玉響神様が通り過ぎる証なのだ。
しかし、決して玉響神様を見てはならない。
「神の一瞬に触れた者は、その一瞬に囚われ続ける」—— そう語り継がれている。
廃神社の奥にて
大学の友人 中村 から妙な誘いを受けたのは、夏休みのことだった。
「玉響神様を祀ってる神社、知ってるか?」
聞いたこともない神社だったが、どうやら彼の地元にあるらしい。
「でも、地元じゃ誰も行かねえんだ。一度でも参ったら、戻ってこれないって言われてる。」
それなら行かない方がいいのでは——そう思ったが、好奇心が勝った。
俺たちは神社へ向かうことにした。
一瞬の違和感
神社はすでに廃墟のようだった。
朽ちた鳥居、ひび割れた賽銭箱、周囲を覆う鬱蒼とした木々——。
奥へ進むと、小さな祠があった。
そこには黒ずんだ木札が掲げられていた。
「玉響神の社(やしろ)」
鳥肌が立つ。
「なあ、帰ろうぜ。」
そう言おうとした瞬間——
カサ……
背後で何かが動いた。
風か? いや、木々はまったく揺れていない。
ふと見ると、賽銭箱の横に白い着物のようなものが見えた。
だが、俺が目を凝らすと——
何もなかった。
"気のせい" だったのだろうか……?
「……おい、中村?」
友人の方を見ると、彼は賽銭箱を覗き込んでいた。
「なあ、これ……。」
彼が指差した先には、小さな鏡が置かれていた。
その鏡に——俺たちの姿は映っていなかった。
囚われた一瞬
「……何だよ、これ……」
恐怖で固まっていると、突如——
ギィィ……
背後の祠の扉が、ゆっくりと開いた。
暗闇の奥から、何かが覗いている。
——— 白い顔。
瞬きをした。
その "何か" は、俺たちを見ていた。
「っ……!」
次の瞬間、俺たちは走り出した。
息が切れ、肺が焼けるように痛んだ。
それでも、背後から "気配" が追いかけてくる。
鳥居をくぐった瞬間——
「———え?」
突然、全てが止まった。
辺りは静寂に包まれ、虫の声すら聞こえない。
俺たちは鳥居の外に立っていた。
「……助かったのか?」
安堵しかけた瞬間、ふと気づいた。
中村が、いない。
"一瞬" に消えた友
「おい、中村! どこだ!」
だが、彼の姿はなかった。
気づけば、俺が鳥居をくぐる寸前の「一瞬」だけが、繰り返し脳裏に焼き付いている。
——背後の中村が、"何か" に腕を引かれた瞬間。
「……そんな、馬鹿な……」
俺はその場で立ち尽くした。
どれだけ待っても、中村は戻ってこなかった。
警察にも相談したが、当然のように「そんな神社はない」と言われた。
中村は、"いなかった" ことにされた。
彼の存在だけが、一瞬で消えたのだ。
まるで——
"玉響の瞬間" に囚われたかのように。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

