目次
深夜の物音
梅雨時のある夜、佐々木(ささき)は一人暮らしのアパートでうとうとしていた。
古い木造のアパートで、雨の日は湿気がひどい。
そのため、今日は珍しく雨戸を閉めていた。
バタン……バタン……
突然、外から何かが揺れる音がした。
「……風か?」
時計を見ると深夜2時過ぎ。
窓を開けて確かめる気にはなれず、そのまま布団をかぶった。
しかし——
バタン……バタン……ガタガタッ……
音は止まらない。
むしろ、徐々に激しくなっている。
雨戸の隙間
不安になりながらも、そっと起き上がる。
音のする方を見ると、雨戸の隙間から何かが覗いているように見えた。
「……え?」
気のせいかと思ったが、確かに"そこ"にある。
細い隙間から、黒い何かがこちらを見ている。
目の錯覚だと自分に言い聞かせた。
でも——
その"黒い何か"は、ゆっくりと動いた。
ズズ……と、わずかに隙間が広がる。
雨戸を叩く音
コン……コン……
今度は、雨戸を軽く叩く音がした。
まるでこちらの様子を伺うように、一定の間隔で叩いている。
「……っ!」
恐怖が込み上げ、布団をかぶる。
息を殺して音を聞く。
コン……コン……
少しずつ、叩く間隔が短くなっている。
コン、コン、コン、コン——
ドンッ!!
突然、大きな音で叩かれた。
その瞬間、外の雨戸がガタガタと大きく揺れる。
まるで何かが無理やり開けようとしているかのように。
朝になって
いつの間にか眠ってしまったらしい。
目を覚ますと、外はもう明るい。
昨夜の音は夢だったのか?
そう思いながら、恐る恐る雨戸を開けた。
すると——
外には無数の手形がついていた。
しかも、それは小さな手ばかりだった。
まるで子どもが遊んだように、びっしりと——。
「……何なんだよ、これ……」
ゾッとしながら、アパートの大家に話を聞きに行った。
すると、大家は気まずそうな顔でこう言った。
「……実は、この部屋の前の住人も、同じことを言ってたんだよね。"雨戸の向こうに子どもがいる"って……」
残された声
それ以来、佐々木は雨戸を閉めないようにした。
だが、ある夜——
雨戸を閉めなくても、窓の向こうから"あの音"は聞こえてきた。
コン……コン……
それに混じって、小さな子どもの声がした。
「……ねえ、あけて……」
その声は、雨戸が閉まっていた時よりも——
ずっと近くから聞こえていた。
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