目次
【深夜2時の違和感】
深夜2時。会社員の田島優斗(たじまゆうと)は、狭い1Kのアパートで眠れずにいた。
きっかけは、コンコン……という軽いノック音だった。
外は静かで、隣室の気配もしない。
(上の階か?)
そう思ってまた布団に潜ろうとした、その時——
「……目玉、かえして……」
壁の向こうから、かすれた女の声が聞こえた。
【不気味な壁の穴】
翌朝、気のせいだと思いながらも、優斗はふと部屋の隅に視線を向けた。
すると——
壁に、小さな穴が開いていた。
太い釘でも刺さっていたような穴。だが、中は妙に黒く、まるで奥へと続いているような深さがあった。
(……こんな穴、昨日まであったか?)
スマホのライトを照らして覗いてみると——
中に、何かがあった。
小さな……球体?
ピンポン玉のようなサイズで、うっすらと光っている。
「……え、まさか……」
恐る恐る爪先で引き寄せると、それは、明らかに"人工ではない"何かだった。
——目玉だった。
【目が合った】
手に取った瞬間、ひんやりとした感触が指先を這った。
血走った模様が、優斗自身を見ているような錯覚を起こす。
恐怖にかられ、すぐにその目玉をタオルにくるみ、引き出しに押し込んだ。
その夜。
またコンコン……と、壁が叩かれる音が響く。
「……目玉、かえして……目、かえして……」
今度ははっきりと、自分の部屋の中から聞こえた。
優斗は、恐る恐る振り向いた。
クローゼットの扉が、少しだけ開いていた。
【手遅れ】
怖くなり、友人に電話をかけた。
「……なあ、もし目玉を拾ったら、どうする?」
「は? お前何言ってんの?」
説明をしても、まともに信じてはもらえなかった。
だが、電話越しにこう言われた。
「……それさ、"見られてる"んじゃなくて、"お前の目を奪おうとしてる"んじゃね?」
その言葉を聞いた瞬間——
部屋の電気が落ちた。
真っ暗な部屋。静寂。
そして——
背後で、布が擦れる音。
「みーつけた。」
優斗が最後に見たのは、自分の顔に、誰かの手が伸びる瞬間だった。
【エピローグ:次の持ち主へ】
数日後。
引き出しの中から、タオルにくるまれた"それ"が、別の場所へ運ばれた。
中古家具の中に紛れ込み、次の部屋へ。
その部屋でもまた、深夜2時になると、壁が叩かれる音がする。
「……目玉、かえして……」
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