目次
空き部屋の異常
大学進学を機に、俺は安いワンルームマンションに引っ越した。
駅からは少し遠いが、家賃が破格だった。
不動産屋いわく、「前の入居者が急に退去して、そのまま空いてた部屋」らしい。
その言葉に、ほんの少しだけ嫌な予感はしたが……部屋自体は清潔で問題なさそうだった。
ただ、入居して最初の夜から、妙な視線を感じるようになった。
目玉の幻覚?
寝ていると、何かが見ている気がする。
最初は気のせいだと思っていた。
でも、ある晩——
壁の一点をじっと見つめていたら、そこに"目玉"のようなものが浮かび上がって見えた。
瞬きをするたびに、ぼんやりと目が現れ、すぐに消える。
「……さすがに、疲れてるのかな」
そう思いながらも、その日から毎晩、部屋のあちこちに目が見えるようになった。
天井、冷蔵庫の扉、カーテンの隙間。
すべて、俺を見ている。
「この部屋、おかしいよ」
心配になって、友人の西山に相談した。
「なあ……最近、目玉が見えるんだけど」
最初は笑っていた西山だったが、俺の部屋に来た時、突然顔を曇らせた。
「……お前、これ気づいてなかったのか?」
「え?」
西山が指差したのは、天井の四隅。
よく見ると、目玉のような形のシミがいくつも浮かんでいた。
それはどれも、人間の目の大きさとほぼ同じ。
まるで、本物がそこに"はめ込まれていた"かのようだった。
前の住人の痕跡
怖くなり、不動産屋にもう一度話を聞きに行った。
担当の人は渋々教えてくれた。
「……あの部屋、実は……前の入居者が精神を病んで……」
「……病んで?」
「"誰かが見てる"ってずっと言ってて……最後は、壁という壁に"目"を描き続けたんです。血で。しかも——」
「しかも?」
「自分の目も、片方……抉ってしまって」
背筋が凍った。
じゃあ、俺が見ていた"目"は……
本当に"視ていた"のかもしれない。
最後の視線
引っ越しを決意し、荷物をまとめている最中だった。
ふと、押し入れの奥に何かがあるのに気づいた。
段ボールの下から転がり出た、小さなガラス玉。
……いや、違う。
それは、乾いた目玉だった。
俺の方を、じっと見ていた。
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