怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

着物を着た女性は夜に現れる 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

投稿日:

深夜のバス停

会社員の岸本(きしもと)は、仕事帰りに終電を逃してしまい、深夜バスを待っていた。
時刻は午前1時すぎ。雨がしとしとと降っており、周囲に人気はない。

そんな中、ふとバス停の隣に誰かが立っていることに気づいた。

白い着物を着た若い女性。
顔は伏せており、肩までの黒髪が雨に濡れているのか、艶やかに見えた。

(こんな時間に……?)

不思議に思いながらも、岸本は声をかけなかった。

その時——

女性が突然、こちらに深くお辞儀をした。

そして静かに言った。

「……お待たせしました」

「え?」

岸本は咄嗟に「バスを待っているんですけど」と言おうとしたが、声が出なかった。

タクシーの記憶

翌朝、岸本は何ごともなかったように目を覚ました。
(昨日はあの後どうしたっけ……)

記憶が曖昧だ。気づけば、自宅のベッドにいた。
タクシーで帰ったような気もするが、領収書はどこにもない。

ふとスマホを見ると、「写真フォルダ」に一枚だけ知らない画像が入っていた。

それは、自分の隣で無表情に座る“着物の女性”の写真だった。

「……なんだ、これ?」

気味が悪くなり、すぐに削除した。

だが、その日から妙なことが起こり始めた。

鏡に映る姿

会社のトイレで鏡を見ると、自分の背後に一瞬、白い着物の裾が映る。

夜道を歩いていると、後ろから足音がついてくる。

自宅の窓の外には、深夜2時ぴったりになると、誰かが立っている気配がする。

気のせいだと思い込もうとしたが、決定的な出来事が起きた。

深夜、岸本の部屋のインターホンが鳴った。

「……こんな時間に?」

恐る恐るモニターを覗くと、
そこには、あの着物の女性が無表情で立っていた。

画面の前で、また深くお辞儀をしている。

「……お待たせしました」

そして、何も押していないのにドアのロックが——

カチャ。

夢か現実か

その瞬間、岸本は目を覚ました。

ベッドの上。汗びっしょりだった。

(夢だった……?)

そう思って立ち上がろうとした瞬間、足元で何かを踏んだ感触がした。

それは、昨夜削除したはずのスマホの写真プリントだった。

しかも——

その写真には、新たにもう一人、自分の背後に立つ着物の女性が写っていた。

バス停に戻る

すべての始まりは、あのバス停だった。

岸本は決意して、再び深夜にその場所を訪れた。

時刻は午前1時。

誰もいない……と思った瞬間、背後で声がした。

「……お待たせしました」

振り返ると、そこにはやはりあの着物の女性が立っていた。

だが、今度は顔が見えた。

自分と、まったく同じ顔をしていた。

その瞬間、岸本の意識はふっと途切れた。

終わらないお辞儀

それから数日後、バス停の前を通った人々が奇妙な噂を口にしはじめた。

「深夜になると、白い着物の人がずっとお辞儀してる」
「誰かを待ってるみたいだけど、顔が見えないんだよね……」

ただひとつだけ、共通していたのは——

その女性は、待ち人が現れない限り、決して動かないということだった。

そして今夜もまた、誰かがふと立ち止まる。

後ろから声がする。

「……お待たせしました」



■おすすめ

マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】




ロリポップ!

ムームーサーバー


新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp



世界の心霊写真 ~カメラがとらえた幽霊たち、その歴史と真偽

新品価格
¥3,080から
(2024/10/17 10:26時点)



ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集
-, , , , , ,

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.