目次
奇妙な内見
引っ越しを考えていた時、ネットで見つけた「格安物件」に目が止まった。
駅チカ、1K、築浅。なのに相場より数万円安い。
怪しいと思いつつも、内見の予約を入れてみた。
当日、案内してくれた不動産屋の男性は少し無愛想だったが、部屋は確かに綺麗だった。
ただ、一つだけ気になることがあった。
「この部屋、窓がないんですね?」
「ええ、防音仕様なので……気にならない方も多いですよ」
妙に早口でそう答える彼の態度に、少し違和感を覚えた。
でも、条件は良かったし、そのまま契約してしまった。
──これが、間違いだった。
窓のない生活
最初の数日は特に問題なかった。
防音と言うだけあって、外の音も気にならないし、エアコンも快適だった。
でも、住んでいるうちに時間の感覚がおかしくなっていった。
朝なのか夜なのか、わからない。
時計やスマホで確認できるものの、外の光が一切入らない生活は、想像以上に精神を削っていく。
さらに、ある夜──
部屋の隅から、誰かが立っているような気配を感じた。
もちろん、誰もいない。
だが、翌朝、テーブルの上に置いていたマグカップが床に落ちて割れていた。
寝ている間に、割れたのか?
消えた部屋番号
数日後、同じ建物に住んでいるらしい住人とエレベーターで会った。
軽く挨拶をすると、その人が不思議そうに言った。
「このマンション、確かその部屋……前は空き部屋だったはずだけど……」
「え? でも今、俺住んでますけど」
「……いや、変だな。あの部屋、番号が外されてたと思うけど……」
その言葉を聞いて、帰宅後すぐに自分の部屋のドアを確認した。
……表札も、部屋番号も、どこにも付いていなかった。
ぞっとして不動産屋に電話をかけるも、番号は現在使われていない。
契約書も、なぜか見当たらない。
「……何が起きてる?」
窓のない部屋の“本当”の意味
ついに我慢できず、マンションの管理会社に直接問い合わせた。
すると、電話口の担当者が静かに言った。
「その部屋、**もう数年前に“事故物件”として封鎖されたはずですが……」
「でも、俺は住んでるんですよ! 普通に内見して、契約も……」
「ありえません。そもそも、その部屋、今は存在していません。」
「……は?」
俺は電話を切り、玄関の扉を開けようとした。
だが、ドアが開かない。
鍵は回る。チェーンも外してある。
なのに、ドアの先に“何もない”感触。まるで、ドアの向こうに空間が存在しないような……
スマホも圏外、Wi-Fiも切れていた。
そして気づいた。
部屋の壁に、いつの間にか無数の手形が浮かんでいた。
天井にも、床にも。
それ以来、誰かがずっと部屋の中を歩いている気配が続いている。
俺は今も、この窓のない部屋から出られずにいる。
……あなたのすぐ隣の部屋かもしれない。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

