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深夜の張り紙アルバイト
大学時代、金欠だった俺は、とにかく高時給のバイトを探していた。
そんなとき、大学の掲示板に「深夜限定/簡単な見張り作業/時給5000円」という信じられない求人を見つけた。
条件はただ一つ。
「夜10時から朝5時まで、部屋の中で何もせず、決して動かず見張るだけ。」
仕事内容が曖昧すぎるのが気になったが、担当者に連絡し、翌日面接に向かった。
面接はスムーズで、特に質問もなく、「今日からお願いできますか?」と言われ、すぐ採用が決まった。
見張りバイトのルール
指定されたマンションの一室は、古びたワンルーム。家具は何もなく、照明も薄暗い。
部屋の中央には、一脚の椅子だけが置かれていた。
担当者は淡々と注意事項を告げた。
「椅子に座ったら、決して立たないでください。部屋の中で何か音がしても、振り返らないでください。朝5時まで、じっと座っていれば報酬は現金で支払います。」
仕事内容はそれだけ。
簡単だと思った。だが、初日の夜。
午前2時を回った頃、部屋の奥からコト……コト……と音が聞こえ始めた。
もちろん、部屋には自分以外誰もいない。
怖くなりそうだったが、報酬のためと必死で耐えた。
奇妙な気配
3日目のバイトの夜。
また深夜2時過ぎ、音が聞こえた。
だがその日は違った。
音が、だんだん椅子の背後へ近づいてくるのだ。
そして──
フッ……と、うなじのあたりに息がかかる感覚があった。
本能的に立ち上がりそうになるのを、必死でこらえた。
朝5時、担当者が現れると、まるで何もなかったかのように報酬が渡された。
「……今日も立たなかったんですね。偉いですね。」
その言葉に、ゾッとした。
まるで、誰かが俺を試していたような言い方だった。
契約終了とその後
一週間後、突然「今日で契約終了です」とだけ伝えられた。
理由は教えてくれなかった。
そのままバイトは終わり、報酬は全額支払われた。
奇妙だが割のいいバイトだった──そう思っていた。
だが数ヶ月後、ニュースで見た。
「あのマンションで、以前行方不明者が続出していた」という記事。
立ち上がった人間だけが、“消えていた”らしい。
あの時、もしほんの一瞬でも立っていたら、俺は今ここにいなかったかもしれない。
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