「先輩、俺……実は最近、ちょっと怖い体験したんですよ。」
ビールを一口飲んだ後輩の佐藤が、妙に真剣な表情でそう切り出した。
「へぇ、どんな話だ?」
俺が軽く笑いながら促すと、佐藤はグラスを置いて、静かに話し始めた。
目次
見慣れたはずのアパート
「俺、ついこないだ引っ越したんですよ。家賃が安いのと、駅が近いんで即決したんですけど……最初の週から変なことが起きてて。」
「変なこと?」
「夜になると、壁の向こうから誰かがノックするんです。トントンって。」
「隣人だろ?」
「それが、隣の部屋、空き室なんです。」
思わずジョッキを持つ手が止まった。
深夜のノック
「最初は空耳かと思ったんですけど、何日経っても同じ時間、夜中の3時きっかりに壁からノック音が聞こえるんです。」
「怖いじゃねぇか。」
「さすがに気になって、管理人さんに聞いたんですよ。そしたら……隣の部屋、前の住人が去年の冬に亡くなってるって言われました。」
「……事故物件か?」
「ええ。でも、俺が一番ゾッとしたのはその後です。」
壁の文字
「ノックが続く夜、音のする壁を撫でてたら……指に引っかかる感触があって。スマホのライトで照らしたら、薄く文字が刻まれてたんです。」
「文字?」
「はい。壁に爪で書いたみたいな跡で……」
佐藤は、手元の紙ナプキンにその文字をゆっくり書いた。
【サトウタスケテ】
俺は背筋がゾッとした。
「その日以来、ノックは止まったんですけど……今度は夜中、誰かが布団の中に潜り込んでくる感触がするんです。」
「おいおい……」
「でも、誰もいないんです。」
後輩の言葉の意味
佐藤は静かにグラスを見つめながら、ボソッと呟いた。
「……先輩も今夜、寝るとき気をつけてくださいね。俺、昨日、飲み屋で先輩にこの話した夢を見たんです。」
その瞬間、店内のテレビから「今日未明、○○アパートで男性の遺体が発見されました」というニュースが流れた。
映ったのは——佐藤が住んでいたはずのアパートだった。
隣の部屋ではなく、佐藤の部屋が。
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