金曜日の夜、仕事終わりに繁華街の居酒屋でビールを片手に談笑していた。
同席していたのは、職場の後輩、田村(たむら)。
いつもは明るく冗談ばかり飛ばす男が、その日は珍しく、真面目な顔でグラスを傾けていた。
「先輩、俺……最近、ちょっと変な体験したんです。」
冗談だと思って笑いかけたが、田村は静かに語り始めた。
目次
【後輩が語る恐怖体験談】
「先月の夜、終電を逃して歩いて帰ってたんですよ。駅から自宅まで20分くらいの道。
途中、小さな公園の前を通るんですけど、そこで足音が増えたんです。」
「増えた?」
「はい。自分の足音しか聞こえないはずなのに、もう一人分、後ろからついてくる音がするんですよ。ピッタリ同じテンポで。
で、振り向いても誰もいなくて……。でも、歩き出すとまた"コツ、コツ"って音が追いかけてくるんです。」
その時点で、鳥肌が立った。
「それで、曲がり角まで走って振り返ったら——誰かが立ってたんです。」
【夜道の交差点で】
田村は、焼き鳥を箸でつまみながら小声で続けた。
「街灯の下に、ぼんやりしたシルエットが。
たぶん女の人だと思うんです。長い髪で、白い服みたいなの着てて。
でも、おかしいんですよ。顔が……真っ黒で、見えない。」
彼は軽く酒を飲み干した。
「怖くなって全力で走って逃げたんです。家まであと少しだったのに、
玄関前でドアを開けようとしたら、背中のすぐ後ろで息遣いが聞こえたんですよ。」
【家まで追いかけてくる】
「急いで家のドア閉めて、鍵をかけたんです。
部屋で息を整えてたら——ピンポンってインターホン鳴ったんです。」
俺は笑えなくなって、グラスを置いた。
「モニター見たら、何も映ってない。でも、玄関のドアの隙間から……白いワンピースの裾が見えてた。
絶対、誰か立ってたんですよ。」
田村は、スマホを取り出し、インターホン録画の画像を俺に見せた。
真っ暗な画面の中、かすかに白い布の端だけが映っていた。
【今も、まだ】
「それから、毎晩なんですよ。ピンポンって、同じ時間に。」
「今も?」
「……ええ。今朝も鳴りました。」
田村は言った。
「今、思うんですけど……あの夜、家に入る前に振り向かなきゃよかったんです。」
俺たちはその後も何杯か飲んだけど、帰り道、どうしても背後が気になって仕方がなかった。
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