夏祭りの夜、商店街の一角にひっそり現れるお面屋があった。
提灯の明かりに照らされ、並べられているのは狐や般若、天狗といった定番のお面。でも、その店には1枚だけ——見たことのない無表情の白いお面が置かれていた。
好奇心に駆られて、俺は思わずそのお面を手に取った。
「それはね、選ばれた人しか買えないんだよ」
突然、店主の老人が声をかけてきた。冗談かと思って笑ったが、なぜか胸の奥がざわついた。
「試しに付けてごらん」
勧められるまま、お面を顔に当てた。
——次の瞬間、目の前の風景が変わっていた。
見慣れたはずの夏祭りの賑わいが、どこか薄暗く静かな場所へと変わっている。屋台の人たちも客たちも、全員が無言でこちらを見ている。
皆の顔には、あの白いお面。
怖くなってお面を外そうとしたが、手が動かなかった。
「戻るには、自分の顔を思い出すんだよ」
耳元で誰かが囁いた。
必死で自分の顔を思い浮かべた。
すると、視界がぐにゃりと歪み、気が付くと元の夏祭りに立っていた。
手には、あのお面が握られていた。
慌てて店に戻ると、もう屋台は消えていた。
翌年、同じ場所に行ってみると、またお面屋が現れていた。
ただ、白いお面はもうなかった。代わりに、並んでいるお面の中に——
去年の自分にそっくりの顔があった。
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