目次
同居人の寝言
大学生の誠司(せいじ)は、友人の圭太(けいた)と2人でルームシェアをしていた。
節約のための同居生活は特に問題もなく、穏やかに続いていた。
ただひとつだけ気になるのは、圭太の寝言がやけにリアルで、夜中によく聞こえてくることだった。
「……ごめん、置いていかないで……」
「まだ……ここにいる……」
まるで誰かと話しているような、はっきりとした言葉。
それも一晩中続く夜もあった。
寝言の違和感
ある夜、誠司はトイレに起きたついでに、圭太の部屋の前を通りかかった。
ドアの向こうからは、やはり寝言が漏れていた。
「……起きてるの、知ってるよ」
聞いた瞬間、誠司は足を止めた。
(……今のって、寝言?)
寝言にしてはあまりにもタイミングが良すぎた。
まるで自分が廊下を通るのを知っているかのように。
ゾクリとしたが、気のせいだろうと自分に言い聞かせた。
もうひとつの声
翌日。
ふと気になり、スマホの録音アプリで寝言を録音してみることにした。
深夜、布団の横にスマホを置き、録音を開始して眠った。
翌朝、再生して確認すると、圭太の声が何度も聞こえてきた。
「……ここにいるよ……」
「……見つけた……」
しかし、その後、録音の中に圭太の声とは違うもうひとつの声が混じっていた。
それは低く、かすれた声でこう言っていた。
「お前も……すぐ、こっちだよ」
圭太のいない部屋
誠司は戦慄し、圭太に録音のことを話そうと彼の部屋を訪ねた。
ドアをノックしても返事がない。
部屋のドアを開けると、中は空っぽだった。
圭太の荷物も布団も、まるで最初から誰も住んでいなかったかのように消えていた。
管理会社に問い合わせたところ、こう言われた。
「え? 圭太さん? その部屋、ずっと一人で住んでますよ。契約も誠司さんだけです。」
最後の寝言
その夜、恐怖で眠れずに横になっていると、誠司の耳元で、はっきりと声が聞こえた。
圭太の声だった。
「置いていかないで……まだ、ここにいるよ……」
それ以来、誠司は二度と録音アプリを使うことはなかった。
けれど今も、夜になると壁の向こうから、誰かの寝言が聞こえる。
「……起きてるの、知ってるよ。」
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