引っ越したばかりのワンルーム。家賃も安く、見た目もキレイで、最初はいい部屋だと思っていた。
けれど住み始めて数日、夜になるとどうも気になる音がするようになった。
最初は壁の薄さのせいで、隣のテレビか何かが漏れ聞こえているのかと思った。
けれど、よく耳を澄ますと、テレビの砂嵐みたいな「シャー……」という雑音の中に、誰かの声が混ざっている。
はっきりとは聞き取れない。
でも確かに「……まって……」「……こっち……」と、断片的に声が混じっていた。
目次
雑音の正体
気味が悪くなり、不動産屋に問い合わせたが「壁が薄いだけでは？」と軽く流された。
しかし、ある夜——音は明らかに部屋の中から聞こえてきた。
ベッドの下から、雑音混じりのかすかな声が。
「……ずっと、ここにいた……」
ゾッとして布団をかぶったまま、朝まで一睡もできなかった。
残された記録
翌日、怖さ半分でスマホの録音アプリをセットし、一晩回してみた。
翌朝、再生すると雑音が延々と流れた。
そして深夜2時頃、音声の中でハッキリとこう聞こえた。
「……今、ベッドの下から見てる。」
背筋が凍った。
急いで荷物をまとめ、その日のうちに退去した。
新たな部屋でも
引っ越した先では、最初は何事もなく過ごせた。
だが、1週間が過ぎた頃。
夜、寝る前にふとテレビを消した瞬間、スピーカーから「……また見つけた。」
砂嵐のような雑音に混じって、あの声がはっきり聞こえた。
どこまでも雑音に紛れて、あいつはついてきている。
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