目次
時間が止まった昼休み
高校2年生の春。
昼休み、友人たちと教室で話していると、ふと空気が変わった。
教室中の雑談や笑い声がピタリと止まり、窓の外の桜の花びらも、風に舞ったまま空中で静止している。
「……え?」
驚いて周囲を見渡すと、クラスメイト全員がまるで時間を止めた写真のように微動だにしない。
時計の秒針も止まっている。
時間が止まっている、そう確信するしかない状況だった。
動けるのは自分だけ
怖さよりも、不思議さが勝って、俺は席を立ち、友人の肩に触れてみた。
冷たくもない、暖かいままの体温がそこにあった。
だけど、全く動かない。呼吸すらしていない。
教室のドアを開け、廊下へ出ても状況は同じだった。
グラウンドではサッカーをしていたはずのクラスメイトが宙に浮いたボールを見つめたまま静止していた。
街も、風も、音も止まった世界。
動いているのは、俺ひとりだけ。
時間が戻る瞬間
無音の世界をしばらく歩き回ったあと、教室に戻り、自分の席に座った瞬間。
耳鳴りのようなキーン…という音が遠くから近づいてきた。
そして、秒針がカチ、と音を立てた瞬間——
周囲の音も動きも、一斉に戻った。
友人たちは何事もなかったかのように会話を続け、教室はいつもの昼休みだった。
俺だけが、時間の止まった世界を歩いた記憶を持っていた。
あの時間の謎
その後も、何度か同じ現象に遭遇した。
決まって、時計の針が12時34分56秒を指しているときに起こる。
偶然か、必然か。
時間が止まった間、世界から自分だけが取り残された感覚は、今も忘れられない。
そして最近、ある事実に気づいた。
時間が止まるその日、その瞬間、必ず教室の後ろの窓ガラスに自分の姿とは違う“誰か”が映り込んでいる。
時間が止まっている間、俺はひとりきりではなかったのかもしれない。
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