都会の暮らしに疲れて、実家の田舎へ数日帰省したときの話だ。
実家の裏山には、子どもの頃よく遊んだ大きなクヌギの木がある。春夏秋冬、何十年も変わらずそこに立っていた。
ある日、夕方の散歩中にその木の下を通ったとき、妙な違和感に気付いた。
枝という枝にびっしりと、ミノムシがぶら下がっていた。
「昔、こんなにいたかな……?」
子供の頃はせいぜい数匹だったはずだ。なのに、今は数え切れないほど、枝からゆらゆらと無数に揺れている。
目次
【1. 音を立てるミノムシ】
夜になると、裏山からガサガサ……カサカサ……と、不気味な音が聞こえてきた。
風もないのに、まるで何かが木の上を歩いているような音。
翌朝、再び木を見に行くと、昨日よりもミノムシの数が増えていた。
「まるで、夜の間に……増えてる?」
しかもよく見ると、どれも不自然に大きい。普通のミノムシの2〜3倍はある。
【2. 中身は何?】
気味が悪くて、一つ枝から取り外してみた。
中から出てきたのは、虫じゃなかった。
小さな、干からびた人間の指のようなもの。
震える手で次のミノムシも開けた。
今度は、人間の耳の形をしたものが乾ききった状態で入っていた。
「……これ、虫じゃない。」
【3. 増え続ける理由】
その晩、祖母に恐る恐る尋ねてみた。
「裏山のクヌギ、ミノムシがいっぱいついてたけど、前からあんなだったっけ?」
祖母はしばらく黙って、低い声でこう言った。
「今年は多いねぇ。きっと、また山で誰かが迷ったんだろう。」
意味が分からず凍りついた。
祖母の話では、あの木は昔から"人を喰う木"と呼ばれていて、山で行方不明になった人がいる年は必ずミノムシが異常発生するという。
【4. 最後の一本】
帰る日の朝、最後に木をもう一度見た。
その中の一本だけ、ミノムシの殻に、自分の名前が小さく彫られていた。
まるで「次はお前だ」と言わんばかりに、風もないのにゆっくりと揺れていた。
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