目次
地下道の近道
大学生の優斗(ゆうと)は、バイト先から自宅への帰り道に、ある地下道を通るのが習慣になっていた。
そこは、駅の裏手にある古びた地下通路で、夜になると人通りもなく、少し不気味だったが、表通りよりも近道だった。
ある夜、いつものように地下道へ足を踏み入れると、空気が妙に湿って冷たく感じた。
「今日は冷えるな……」
そう呟きながら歩き続ける。
だが、出口がいつもの場所に見えない。
出口が見えない
普段なら数分で抜けられるはずの地下道。
しかしその日は、どれだけ歩いても同じ壁と、同じ照明が続く。
後ろを振り返ると、入ってきた入口すら見えなくなっていた。
スマホで地図アプリを開くが、現在地はなぜか「圏外」。
「おかしい……こんなに長かったっけ?」
次第に、足音の響き方も変わってきた。
誰もいないはずなのに、自分の足音のすぐ後ろから、もうひとつ別の足音がついてきていた。
壁に刻まれたもの
焦り始めた優斗は、通路の壁に目を向けた。
そこには、無数の名前と日付が刻まれていた。
よく見ると、日付はどれも古く、1980年、1990年、そして数日前の日付まで混ざっている。
その一番新しい刻みには、自分の名前があった。
「優斗 2024/03/05」
「……そんなはずない。」
現実味を失いかける中、再び背後から足音が近づき、誰かが耳元で囁いた。
「ここはもう……戻れない場所だよ。」
戻れない地下道
次に目を開けたとき、優斗は駅の地下道の入り口前で倒れていた。
通行人が心配そうにのぞき込んでいたが、優斗は何も答えられなかった。
無事だったことに安堵したのも束の間、家に帰り着き、ふとスマホを見ると——
地図アプリの履歴には「現在地:地下道(圏外)」と記録されていた。
それ以来、駅裏の地下道は工事のため立ち入り禁止になった。
優斗はその道を二度と通らなかったが、後日、壁に刻まれていた名前と同じ失踪者の情報をニュースで見つけた。
「昭和から続く未解決行方不明事件」
あの地下道の奥には、今も帰れなかった誰かがいるのかもしれない。
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