怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

時間が止まった午後 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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あれは高校生の頃、梅雨明け前の蒸し暑い午後だった。

いつも通り、放課後の教室で友達と雑談していたはずが、ふと、窓の外に違和感を覚えた。

風が止み、木の葉一枚も揺れない。鳥の羽ばたきも、歩道を歩く人も、すべてがピタリと静止していた。

「……?」

教室の時計を見上げた。

秒針は、12の位置で止まったまま動かない。

しかし、不思議と自分の体だけは普通に動く。

雑談していた眼の前の友人も静止している。

どうやら、時間がとまってしまったようだ。

【1. 誰も動かない】

教室を出て廊下を歩くと、先生も生徒も、みんな、静止している。

自販機の飲み物は落ちてこない。カラスは空中で羽を広げたまま止まっていた。

音もない。まるで世界が丸ごと一時停止ボタンを押された映像の中に迷い込んだようだった。

自分だけが取り残された恐怖と興奮が入り混じる中、校庭を歩き、駅前まで歩いた。

何もかもが動かない。

そして、ある角を曲がった瞬間——

一人だけ、女の子が立っていた。

【2. 時間の外にいる存在】

「やっと来たね」

女の子は、見知らぬ制服を着ていた。

「あなたも気づいたんでしょ? 今、この時間は止まってる。私たちだけが動けるの」

彼女は「時間が止まった世界」に住んでいるわけではなく、「止まった時間の外側」を自由に歩ける存在だと言った。

そしてこう付け加えた。

「でも、気をつけて。この場所には長くいちゃいけない。世界が動き出すと、元の場所には戻れなくなるから。」

【3. 再び動き出す世界】

女の子の忠告を受け、急いで学校へ戻った。

教室のドアを開け元いた場所に戻った瞬間——耳鳴りのような音とともに、世界が一気に動き出した。

秒針は「カチッ」と音を立て、時間が進み出す。

そして、さっきまで話していた友達が何事もなかったかのように、会話を続けた。

「でさ、明日のテスト範囲がさ……」

全員、止まっていた時間のことなど覚えていない様子だった。

【4. 時間の隙間】

それからというもの、時々ふとした瞬間、あの「時間が止まる瞬間」が訪れる。

静止した世界の中、あの女の子の姿を探すけれど、もう二度と会うことはなかった。

もしかすると、あの時忠告されていなければ、今も誰にも気づかれずに止まった時間の中に取り残されていたのかもしれない。

時間は、いつも流れているわけじゃない。
あなたが知らないだけで、時々……止まっている。



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