目次
【深夜の帰り道】
会社の飲み会が長引き、終電を逃した健司(けんじ)は、仕方なく歩いて自宅を目指していた。
人通りのない夜道。街灯も少なく、足元は暗くてほとんど見えない。
もうすぐ家、というタイミングで、「ぐにっ」と何か柔らかいものを踏んだ感覚が足に伝わった。
反射的に足元を見る。
だが、そこには何も落ちていない。
【消えた感触】
しばらく立ち止まり、靴の裏を確認してみたが、汚れもゴミも何もついていない。
気のせいかと思い、再び歩き出す。
しかし数歩進んだところで——
「ぐにっ」
また同じ感触。
辺りを懐中電灯アプリで照らしても、アスファルトの上には何もない。
足元は何も変わらず乾いた道。
なのに確かに何かを踏んだ感覚だけは、はっきりと残っている。
【家の中でも】
何とか家まで帰りつき、玄関で靴を脱ごうとしたとき。
「ぺたっ」
靴の裏から、何かが床に張りついて剥がれるような音がした。
慌てて靴を裏返す。
——だが、やはり何もついていない。
靴底は綺麗なまま。
【夜な夜な続く感覚】
それからというもの、健司は夜道を歩くたびに同じ感覚を味わうようになった。
どんな道でも、必ず一度は「ぐにっ」という踏み心地を感じる。
そしてある晩、自宅でふと床を歩いたとき。
「ぐにっ」
室内の、何も置いていない場所でも、確かに何かを踏んだ感触がした。
床を見下ろすと、何もない。
だが、耳元でかすかに誰かの声が聞こえた。
「痛いよ……」
【見えない何か】
以来、健司は夜道を歩くことができなくなった。
それでも、足元にはときどき、あの踏み心地だけが突然よみがえる。
何を踏んだのかは今も分からない。
ただ一つ確かなのは——あの日、踏んだ"何か"はまだそこにいる。
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