社会人一年目の冬。仕事帰りに、近道しようと入った裏道での話だ。
そこは街灯も少なく、昼間でも薄暗い細い坂道。地元では「暗夜の礫(つぶて)坂」と呼ばれ、昔から夜に石が飛んでくる音がすると噂があった。
最初はそんな話、信じていなかった。だが、その夜、確かに聞いた。
——「うう……うう……」
静かな闇の中に、誰かのうめき声が響いてきた。
【1. 正体不明のうめき声】
周囲を見回しても、誰の姿もない。ただ、うめき声だけが、道の先から聞こえてくる。
帰り道はそこしかなく、仕方なく進むと、足元で「カツン」と硬い音が鳴った。
薄暗い中、足元を照らすと、濡れた小石が転がっていた。
——礫(つぶて)。
その瞬間、また「うう……」と声が耳元に近づいてきた。
振り向くと、誰もいない。だが、次の瞬間、後頭部に何か小さなものがコツンと当たった。
落ちた小石には、濃い泥のようなものが付着していた。
【2. 暗夜の礫の由来】
翌日、職場の先輩にこの話をした。
「それ、暗夜の礫だろ。あの坂道さ、昔人さらいがよく出たらしいんだよ。逃げようとした人間が投げた石が、今でも夜になると道を転がってるって。」
「……じゃあ、うめき声は?」
「そのとき逃げられなかったやつの声だよ。」
先輩は冗談めかして言ったが、その夜から、部屋の窓の外で「カツン……カツン……」と、小石が当たる音がするようになった。
うめき声も、少しずつ近づいてきている。
もしかしたら、あの日、俺がその礫を踏んだ瞬間から、何かに目をつけられてしまったのかもしれない。
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