目次
■1. 廃神社の噂
大学時代、地元の友人たちと肝試しに行った山奥の廃神社。
その神社には昔から「夜に近づくとうめき声が聞こえる」という噂があった。
そして、もう一つ。
「その声が聞こえた場所では、魍魎召喚の儀式が行われている。」
誰かがふざけて作った怪談だろうと、俺たちは笑いながら山道を登った。
■2. 聞こえてはいけない声
神社の鳥居をくぐった瞬間、空気が一変した。
虫の音すら消えた静寂の中。
──「……う、うぅ……」
誰もいないはずの拝殿から、はっきりとうめき声が聞こえてきた。
冗談半分で来たはずなのに、全員が言葉を失った。
怖くなった友人がスマホのライトを照らして拝殿を覗き込むと、そこには誰もいなかった。
けれど、木の床には奇妙な形の模様がびっしりと刻まれていた。
それは、どこか呪文のような文字列だった。
■3. 始まっていた儀式
急いで神社を離れようとした時、背後から再びうめき声が響く。
今度は耳元で。
「……みつけた……」
振り返ると、拝殿の中に人ではない“何か”の姿が立っていた。
その瞬間、友人の一人が地面に倒れ込み、痙攣を始めた。
俺たちはパニックになりながら、なんとか友人を引きずって山を降りた。
■4. 後日談
病院で意識を取り戻した友人は、こうつぶやいた。
「……あの神社、もうだめだ……儀式は終わってた。」
詳しく聞くと、神社で倒れた瞬間、夢の中で“何か”と目が合ったという。
黒くうごめく無数の手と、正体不明の顔。
「もう、呼ばれてたんだよ。魍魎が召喚されたあとだったんだ。」
あの夜から、俺たちの誰もが夜になると同じうめき声を聞くようになった。
今も時々耳元でうめき声が聞こえる。
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