目次
形見の整理
亡くなった祖母の家を片付けていた沙織(さおり)は、古びた木箱の中から見覚えのない人形を見つけた。
布が黒ずみ、目はガラス玉。今にも動き出しそうなくらい生々しい表情だった。
祖母の遺品には見えない異様さに、不安を感じつつも、そのまま形見整理の業者に渡した。
すると、業者が一言。
「これは……普通の粗大ゴミじゃ出せませんね。お焚き上げをおすすめします。」
夜のお焚き上げ
地元の寺で行われる「お焚き上げ」に人形を持ち込むと、住職は沙織の顔をじっと見つめ、こう言った。
「怨念が強い。燃え切れば、怨霊も退散します。」
その言葉の意味を深く考えないまま、儀式は夜に行われた。
炎の中で次々に供養品が燃えていく中、沙織は問題の人形が燃えずに残っているのを見つけた。
炎の熱さに反して、人形のガラスの目だけがじっとこちらを見ていた。
住職は慌てた様子で木の札に経文を書き込み、人形に貼りつけた。
その瞬間、人形は黒煙とともにようやく燃え尽きた。
燃え残った跡
お焚き上げが終わり、家に帰った夜。
押入れから、かすかに焦げた布のにおいが漂ってきた。
恐る恐る開けてみると、そこには人形の焼け焦げたガラス玉の目だけが、転がっていた。
住職に慌てて連絡すると、電話口で低く呟かれた。
「……怨霊は退散しました。でも、“燃え残った一部”は、あなたを探しに戻ります。」
最後の訪問者
それ以来、夜中になると家の中から小さな足音が聞こえた。
照明を消すと、ガラス玉がどこからともなく転がる音。
ある晩、沙織は玄関の郵便受けに、短い手紙を見つけた。
『また拾ってくれて、ありがとう。』
封筒の中には、焼け焦げたガラス玉が1つ、静かに入っていた。
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