目次
夕暮れの公園
社会人の結衣(ゆい)は、仕事帰りに家の近所の小さな公園をよく横切っていた。
春先のある日、ふとブランコに一人の女の子が座っているのに気づいた。
小さな白いワンピース、長い黒髪。
夕暮れの中、黙って揺れるブランコが、風景のように静かだった。
「こんな時間まで遊んでる子も珍しいな」
気にはなったが、その日はそのまま通り過ぎた。
毎日同じ場所で
それから数日間、結衣は同じ時間、同じ道を通った。
そして、必ずその女の子が同じブランコに座っている。
服も髪型も毎日同じ。
そして決まって、誰かを待つように遠くをじっと見ていた。
不思議に思いながらも、勇気を出して声をかけてみた。
「暗くなるよ、おうちの人は?」
女の子は静かに微笑み、こう言った。
「ここで待ってるの。お姉さんも、もうすぐ一緒になるから。」
結衣は背筋がぞっとした。
忘れられた事件
帰宅後、なんとなくその公園について調べてみた。
数年前、近所で子どもの行方不明事件があったという記事がヒットした。
そこには、白いワンピースを着た女の子の写真。
間違いなく、公園で見たあの子だった。
行方不明のまま、捜索は打ち切られていた。
消えない待ち人
次の日、結衣は再び公園を通った。
やはり女の子はブランコに座り、遠くをじっと見ていた。
今度は声をかける前に、女の子の足元をふと見ると、靴が泥だらけで片方だけしかない。
女の子はまた静かに言った。
「お姉さんも、そろそろここで待つ側になるんだよ。」
そう言って、初めてブランコを降り、結衣の方へ歩いてきた。
その後の公園
その日以来、結衣は家に戻らなかった。
近所では、「公園のブランコに女の子と、スーツ姿の女性が二人で並んで座っている」という噂が広まった。
特に夕暮れ時に通ると、名前を呼ばれるという。
「ここで待ってるよ。」
ブランコは、今も二つ並んだまま、風に揺れている。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

