夏休みのある日、僕は近所の空き地で虫取りをしていた。セミの声がうるさくて、汗をかきながら木の根元を探していた時のことだ。
土の中から、キラリと光る何かが見えた。
掘り返してみると、それは1枚の小判だった。
金色に輝くはずなのに、表面はどこか黒ずんで、触った瞬間ヒヤリと冷たい。刻印も古く、漢字が読めなかった。
目次
【1. 小判が呼ぶ夜】
家に持ち帰り、机の引き出しにしまったその晩。
夜中に、どこからか「チャリン……チャリン……」と小判が触れ合う音が聞こえた。
目を覚まして部屋を見回したけど、引き出しはきちんと閉じている。音は止まらず、次第に誰かが数を数えるような声まで聞こえてきた。
「いち、に、さん、し、ご……」
声は次第に近づいてきて、枕元まで迫った瞬間——音も声もピタリと止まった。
【2. 不気味な変化】
翌朝、小判を確認すると、表面に小さな傷跡が増えていた。
最初は何もなかったはずなのに、よく見ると、傷が「イチマイ カエセ」と読める形になっていた。
怖くなって空き地に戻しに行こうとしたけれど、何度探しても見つけた場所の木が消えていた。
【3. 小判の持ち主】
困り果てて、町の歴史好きなおじいさんに相談した。
話を聞き終えたおじいさんは真顔で言った。
「それ、昔この辺りで盗まれた小判の話にそっくりだよ。持ち帰った者は“夜な夜な数えられる”って噂があった。返さないと、数が合うまでずっと追いかけてくるらしい。」
僕は震えながら、小判を神社の境内にある石碑の前に置いた。
翌日から、不思議と夜の音も声も聞こえなくなった。
【4. 忘れられない音】
夏休みが終わり、もう小判のことも忘れかけた頃。
夜、布団に入った瞬間。
「イチ、ニ、サン……」
どこか遠くから、まだあの声が聞こえる気がした。
返した小判が、数を数えているのか、それともまだ足りないのか。
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