目次
不思議な注意
ある日、会社の飲み会で終電を逃した。
酔いが回った状態で、繁華街を歩き、地下街を抜けて駅近くのビジネスホテルへ向かう途中だった。
途中、ふと見上げると、古びた雑居ビルのエントランスに貼り紙があった。
そこには黒いマジックで、雑にこう書かれていた。
「帰るなら右の階段を使え。」
左の階段は封鎖もされておらず普通に使えそうだったが、なぜかその注意書きが妙に気にかかった。
左の階段を選んだ友人
その数日後、飲み会の帰り道に同僚の田辺が偶然そのビルの前を通りかかり、階段の話になった。
「なんだよ、そんなの気持ち悪いけど、普通に左でも上がれるだろ?」
田辺は面白半分で、貼り紙を無視して左の階段を上がった。
しかし、それから彼は音信不通になった。
会社にも来ず、家にも戻らず、携帯もつながらない。
監視カメラの記録
警察の捜索で、ビルの管理人が防犯カメラを確認した。
そこには、田辺が左の階段を昇っていく映像が映っていた。
——だが、不思議なことに、階段を一段一段昇っていくたび、田辺の姿が徐々に薄くなっていくのだ。
上へたどり着く頃には、まるで存在自体が透けて消えてしまったかのように映っていた。
右の階段を選んだ理由
後日、ビルの管理人に直接話を聞くと、こんなことを教えてくれた。
「昔ね、このビルの左階段では、何人も事故や飛び降りがあったんですよ。」
「それ以来、左の階段を使った人が行方不明になるって噂が絶えなくて。だからあの貼り紙、あえて残してあるんです。」
「帰るなら右の階段を使え。」
それは忠告でもあり、最後の選択肢だったのかもしれない。
すれ違う足音
それ以来、そのビルの前を通ると、必ず足音が聞こえる。
夜中、誰もいないはずの階段から——
トン、トン、トン。
階段を上がり続ける誰かの音。
左の階段から。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

