目次
誰もいないはずのビル
俺は都内でビルメンテナンスの仕事をしている。
清掃や設備点検が主な仕事だが、問題は深夜の巡回。
人がいない静まり返ったオフィスビルを、懐中電灯一本でチェックする時間は、どこか異様な雰囲気が漂う。
特に古いビルは、電気を落とした無人のフロアがどこもかしこも人の気配だけが残っているように感じる。
異常な監視カメラ
ある日、深夜の巡回中に設備室の監視カメラモニターを確認していると、エレベーターホールにスーツ姿の男性が立っているのが映った。
こんな時間に社員が残っているはずがない。
管理室に出入り記録を確認すると、ビルの正面ドアは誰も出入りしていない。
不審者かと思い、警備員と現場へ急行したが、誰もいなかった。
その日の朝、記録を巻き戻して確認してみると、そのスーツの男はエレベーターの扉が開くたびに乗ろうとするが、決して乗れない。
何度も何度も、開いては閉まる扉の前で立ち尽くしていた。
封鎖された13階
別の日、点検の際に上司から「13階には行くな」と念押しされた。
このビルは13階の表記を避けて、エレベーターも12→14階と飛んでいる。
しかし、巡回表には「12階→13階→14階」と手書きで追記されていた。
不思議に思い、13階の非常階段の扉をそっと開けた。
扉の向こうは真っ暗な廊下。
……でも、確かに足音だけは聞こえていた。
ゆっくり、近づいてくる足音。
恐怖で扉を閉め、逃げ出した。
消えた点検員
後日、同僚のAが夜の巡回で13階を確認すると話していた。
しかしその日、Aは帰ってこなかった。
連絡もつかず、警察が捜索しても見つからなかった。
唯一残されたのは、巡回用の無線機から漏れた、Aの最後の声だった。
「……エレベーター、開いた。乗ってるのは……スーツの、男——」
その後、13階の巡回は完全に記録から削除された。
エレベーターのボタン
あれから数年。
今でも深夜の巡回でエレベーターに乗るたび、勝手に13階のボタンが光ることがある。
だが、そのビルに13階のフロアは存在しない。
……少なくとも、公式には。
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