目次
電話ボックスがあった時代
今ではすっかり見かけなくなった電話ボックス。
携帯もスマホもなかった頃、街角のそこかしこにガラス張りの電話ボックスがあり、人々はそこで連絡を取り合っていた。
あれは、そんなまだ「10円玉を握りしめていた」時代の話だ。
呼び出しの声
高校生だった健太(けんた)は、部活の帰り道、商店街の角にある電話ボックスでよく友達と連絡を取っていた。
ある日の夕方、いつものように電話をかけようとボックスに入ると、受話器が外れた状態でぶら下がっていた。
「誰かのイタズラか?」
そう思いながら受話器を耳に当てると、ノイズ混じりの向こうから子どもの声が聞こえた。
「……けんたくん、まだ……?」
「えっ?」
誰がどこからかけてきたのかも分からない。
慌てて受話器を置くと、ボックスのガラスに小さな手形が無数についていた。
繰り返される呼び出し
それから数日後。
健太が再び電話ボックスに入ると、今度は受話器がカラン……と自然に落ちてきた。
拾い上げた瞬間、またあの声。
「……まだ来ないの?ずっと待ってるのに……」
震える手で受話器を戻し、急いで帰宅した。
その夜、健太の部屋の電話が鳴った。
親が出たが、数秒の無音の後、こうつぶやいたという。
「けんたくんに、もうすぐ会えるって……」
古い新聞記事
気味悪くなった健太は、翌日図書室で過去の新聞を調べた。
すると、数年前の紙面に、あの商店街近くで子どもが行方不明になった事件の記事を見つけた。
失踪したのは健太と同じ年頃の男の子。名前は偶然にも「ケンタ」だった。
その子が最後に目撃されたのは、電話ボックスの中。
ボックスの跡地
現在、その商店街の角には電話ボックスはない。
だが、晴れた日でもその場所だけ空気が冷たいと感じる者が多く、誰も近寄らない。
時折、通りすがりの人がこう話す。
「あの角で、小さい声で“けんたくん……”って聞こえることがあるんだって。」
あの日の電話ボックスはもうない。
けれど、誰かがまだ、呼び続けている。
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