目次
はじまりは一本の電話
これは、大学時代に体験した本当に奇妙な出来事です。
ある週末、同じゼミのカワムラから電話がありました。
「俺んち、ちょっと変わった場所にあるんだけどさ、よかったら遊びに来ない?」
特に予定もなかったので、住所を聞いて向かうことに。
郊外の駅からバスに揺られ、さらに徒歩20分。
到着した先には、少し古びてはいるものの、人が住んでいそうな普通の一軒家がありました。
カワムラは玄関先で迎えてくれて、リビングでゲームをしたり、夕飯をご馳走になったりして、
普通の、楽しい時間を過ごしました。
次の週、もう一度
次の週、課題のことで確認したいことがあり、再びカワムラの家へ向かいました。
しかし——
その場所にあったのは、窓ガラスが割れ、屋根が抜けた完全な廃屋。
明らかに何年も人が住んでいない様子。
「……え?」
手帳にメモした住所を何度も確認しましたが、間違いありません。
前回訪れたのと、同じ場所。
大学での確認
翌日、大学でカワムラに会い、「お前の家って…あそこ、だったよな?」と聞くと、彼は不思議そうに首をかしげました。
「え? 俺、実家東京だよ? あの日は熱出して休んでたけど…」
「……いや、会ったよな? 玄関の前で出迎えてくれて、家で夕飯も……」
カワムラは完全に否定しました。
「お前に俺の住所なんか教えてないし、誘った覚えもないよ」と。
記憶と現実のズレ
しかし、俺のスマホにはカワムラからの通話履歴がしっかりと残っていました。
日付も、時間も、会話時間も。
不気味なことに、写真フォルダにはその日撮ったカワムラの家のリビングの写真まで残っていたのです。
そこには、確かにあの夜の夕食と、カワムラらしき人影が写っていました。
でも、それを見せた瞬間——
「……これ、俺じゃない。」
カワムラがそう呟きました。
消えた家と“誰か”
数週間後、気になってもう一度あの場所へ行きました。
しかし、廃屋は取り壊され、空き地になっていました。
もう、何もなかったのです。
ただ、自分の中にはあの夜の夕飯の匂いも、部屋の温もりも、カワムラの笑い声も
すべてが確かに存在していたという感覚だけが残っていました。
もしあれが夢だったとしても、写真は? 通話履歴は?
俺が訪ねた“カワムラの家”は、一体誰の家だったのでしょうか?
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