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あの坂の上の空き地
これは、本当に僕が小学生の頃に体験した話です。
当時、僕の家の近くには急な坂を上った先にある広い空き地がありました。
今思えば、誰の土地だったのかもわかりませんが、夏の午後になるといつもそこに子供たちが集まって遊んでいました。
そして、そこでよく一緒に遊んでいたのが、“ユウタ”という名前の男の子です。
僕より一つ年上で、なぜかランドセルはいつも持っていなかったけど、虫取りや鬼ごっこがすごく上手な子でした。
ユウタの話
ユウタはちょっと変わった子で、「あの坂の上の空き地は、時々知らない場所に変わるんだ」とよく話していました。
ある日、「明日は空き地の裏に行ける日だよ」と言われ、一緒に探検しに行く約束をしました。
でも翌日、その空き地にユウタは来なかった。
それから何度通っても、ユウタの姿はなかったし、他の子に聞いても「そんな子いたっけ?」と誰も知らない。
家に帰って親に聞いても、「ユウタくん?知らないわよ」と言われました。
まるで、僕以外の誰の記憶にも存在していなかった。
再会
それから十数年が経ち、僕は社会人になって、たまたま地元に帰る用事ができました。
ふと思い出して、あの坂の上に行ってみると、空き地はすでに更地になり、住宅が建ち並んでいました。
その時、不意に声をかけられました。
「……久しぶり。」
振り返ると、そこには見覚えのある顔の男性が立っていた。
ユウタだった。
少し大人びていたけれど、顔は間違いなかった。
「ずっとここで待ってたんだよ、空き地の裏に行く約束、まだ果たしてないから。」
そう言った瞬間、ユウタの姿はふっと消えていた。
いま思うこと
あれが夢だったのか、幻覚だったのかはわかりません。
でも確かに、あの坂の上の空き地で、僕はユウタという子と遊んでいた記憶があります。
そして今でも、あの時一緒に空き地の裏に行っていたら……
僕は今ここにいなかったのかもしれません。
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