これは本当に、自分が小学3年生の夏に体験した話です。
家のすぐ裏に、誰も使っていない空き地がありました。フェンスで囲まれていて、大人たちは「昔は工場だったけど今は危ないから入るな」と言っていました。
でも、子供にとってそんな場所は最高の探検スポット。僕たち近所の友達4人は、よくこっそりフェンスを乗り越えて入り込んでいました。
空き地の中央には、コンクリートでできた台座のようなものがありました。そこに、なぜか「ドアだけ」が立っていたんです。
目次
【1. 扉の向こう】
ドアは木製で、古くてボロボロ。誰がどうやって置いたのかも分からないし、もちろん、繋がっている壁も建物もありません。
ただのオブジェみたいに見えました。
けれどある日、ドアを開けた瞬間、景色が一変しました。
空き地のはずなのに、そこには広い草原が広がっていて、背の高い風車が回っていたんです。
風の音、草の匂い、空の色——すべてが異常なくらいリアル。まるで別世界に来てしまったみたいでした。
「うわ、なんだこれ!」
僕たちは走り回って遊びました。でも、ふと気づくと、太陽が一気に沈んでいき、あたりは真っ暗に。
慌ててドアまで戻り、押し開けると、そこは元の空き地でした。
時計を見ると、ほんの5分しか経っていなかった。
【2. あの場所は消えた】
その後も何度かあのドアに行きましたが、同じことは起きませんでした。
それどころか、1週間後にはドア自体がなくなっていたんです。
まるで最初から存在しなかったかのように。
一緒にいた友達も、何人かは「そんなことあったっけ?」と忘れているような反応でした。
ただ、一人だけ、当時一緒にいた親友のヒロシだけは今でも言います。
「確かに見た。あの扉の向こうの世界、夢じゃない」
【3. 今でも探している】
大人になった今でも、あの体験を時々思い出します。
あれは何だったのか。僕たちは一体どこに行ったのか。
最近、実家に帰るたびに裏の空き地を見に行きますが、あの場所は今では整地されて、住宅街になってしまいました。
でも、どこかに、まだ「扉だけが立っている場所」がある気がしています。
そしていつかまた、あの草原に続くドアを開けられる日が来るのではないかと、本気で思っているのです。
おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー
