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清掃婦の声──聞こえるはずのない時間帯に 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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■1. 深夜のビル清掃

これは、実際に自分が経験した話です。
大学時代、深夜のオフィスビルの警備バイトをしていた頃のこと。

そのビルは都内の10階建てで、夜間は警備員が1名体制。
定時巡回の合間にモニターでフロアを監視するのが仕事でした。

23時を過ぎると、社員は全員退社し、清掃員の方が数名だけ入るルーティン。
ただ、清掃は午前1時までに終わるのが決まりでした。

それ以降は、完全な無人の状態になるはずだったんです。

■2. 聞こえた“掃除の音”

ある夜、午前3時前。仮眠をとっていたところ、
インカム越しにカラカラ……というモップを引きずるような音が微かに聞こえました。

気のせいかと思っていたら、ビルの7階の監視モニターに、
廊下の端に人影のようなものが一瞬映った。

背中を丸めた中年女性のような影が、モップを押して歩いている姿。

「……まだ清掃、終わってないのか?」

確認のため、清掃担当の控え室に連絡すると、
「本日は0時前に全員退館済み」との返答。

■3. 7階の異常

念のため、7階に向かってみた。

廊下に出ると、明らかに床が濡れていた。
モップで拭いた直後のような跡が、エレベーターホールから奥の会議室前まで続いていた。

(誰か残ってた?)

会議室の扉を開けようとした瞬間──
中から、「あの部屋だけは入らないでくださいねぇ」と、低い女性の声が聞こえた。

心臓が跳ね上がる。振り返っても誰もいない。

廊下には、自分しかいないはずなのに。

■4. 清掃記録の“名前”

翌朝、事務所のログで清掃員の名前を確認した。

その中に、気になる名前があった。
「田村マサコ」という、聞き覚えのある名。

警備歴の長い先輩に聞いてみると、数年前までその名前の清掃員がいたそうだ。

「でも……田村さん、清掃中に倒れてそのまま亡くなったんだよ。7階の会議室の前で。
もう清掃員リストには入ってないはずなんだけどな。」

背中に冷たい汗が流れた。

■5. 今も続く声

それ以来、3時近くになると、時々「カラ……カラ……」というモップの音が7階から響いてくる。

監視モニターに、掃除中の背中だけが映る夜もある。

声が聞こえるのは、決まって「あの部屋」の前。

今も警備員の間では「3時の清掃婦」の話は共有されている。
でも、その声に返事をしてしまった者はいない。

……その後、掃除される側になるかもしれないから。



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