目次
夢を語っていた友人
高校時代からの友人に、ユウジという男がいた。
おとなしくて目立たないタイプだけど、妙に語彙が豊富で、話しているとSFやファンタジーの話題ばかりだった。
ある日、飲み会の帰りにぽつりと言った。
「マジでさ、異世界転生できたらいいなって思ってる」
酒の席の冗談だと思ったけど、彼は本気だった。
「この世界に期待してないんだ。いつか“あっち側”に行きたいんだよ」
正直、少し怖かった。でもそれ以上に、本気で信じてる目を見て、何も言えなくなった。
最後のLINE
ある日、突然ユウジからLINEが来た。
「今日、行ってくる」
それが最後のメッセージだった。
連絡しても既読にならず、電話にも出ない。
自宅に行ってみたが、部屋は荒れた様子もなく、財布やスマホもそのまま置かれていた。
ただ、机の上に一冊のノートがあった。
ノートの中身
ノートにはびっしりと文字が書き込まれていた。
「この世界とあの世界を結ぶ境界は“重なり”にある」
「満月と新月の間の“零の夜”に合わせ、重なる点へ行くこと」
「自己否定と強い願望が重なるとき、通路が開く」
明らかに正気とは思えない内容だったが、ユウジの字で、しかも最近の日付だった。
最後のページにはこう書かれていた。
「次の満月の夜、あの場所で待つ。
もし成功したら、もう戻ってこない」
彼が向かった場所
ノートにあった住所は、郊外の廃線跡のトンネルだった。
夜中、一人で向かってみると、
落ち葉もない、誰かが最近歩いた痕跡が確かにそこにあった。
でも、ユウジの姿はなかった。
警察に届けても、事件性はないと言われ、数日後には捜索も打ち切られた。
その後に届いた“証拠”
数週間後、俺の家に差出人不明の封筒が届いた。
中には、見覚えのあるユウジの字でこう書かれた紙が1枚。
「こっちは悪くない。案外、静かでいいところだ。
次は、お前の番だな?」
そして、手紙の中にはこの世界では流通していないデザインの硬貨が一枚だけ入っていた。
触れた瞬間、身体がぞわっと震えた。
これが冗談や狂言じゃないかもしれないと、ようやく理解した。
ユウジは、もしかしたら本当に異世界へ行ってしまったのかもしれない。
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