目次
【「俺、いつか絶対異世界に行くから」】
大学時代からの友人、坂下浩平(さかしたこうへい)は、冗談でもなく本気で「異世界に転生したい」と言っていた。
小説やゲーム、アニメの世界に強く影響を受けていて、
「現実はつまらない、あっちの世界に行けば勇者になれる」と、いつも語っていた。
もちろん当時の俺は、軽い厨二病だと思って笑って聞き流していた。
——あの日までは。
【ある日、浩平が突然消えた】
社会人3年目のある朝、いつものようにLINEで連絡を取ろうとしたが、既読がつかない。
その日の夜、彼の母親から電話があった。
「昨日から浩平が家に帰ってこないの。スマホも置いたままで……」
警察にも届け出を出し、友人たちと心当たりを探し回ったが、浩平はどこにもいなかった。
【始まりはメッセージから】
それから1週間後。俺のスマホに、非通知のSMSが届いた。
送信者名はなく、ただメッセージにはこう書かれていた。
《転生した。マジであったよ、異世界。》
ふざけた悪戯かと思った。
でも、次の日も、次の日も、毎晩0時ちょうどに1通ずつメッセージが届いた。
【異世界での出来事】
その内容は、どこかリアルで、少しずつ不気味さを帯びていた。
《最初はスライム退治からだった。でも、倒したスライムが喋って、俺に「帰れると思うな」って言った。》
《街の人間が、俺を“代わり”って呼ぶんだ。何の代わりかは聞けなかった。》
《空が二つある。片方はこっち、もう片方は……たぶん、元の世界の空。》
俺はスクリーンショットを取り、警察に再度相談した。
しかし、番号の追跡は不可能。位置情報も発信元不明。
「いたずらの可能性が高い」と言われ、それ以上は動いてくれなかった。
【止まらない通信】
それから3ヶ月。メッセージは毎晩、欠かさず届いた。
内容は次第に曖昧になり、
《思い出せない》《名前が消えそう》《ここに来た方法、何だったっけ?》
と、まるで浩平自身の記憶が薄れていくようだった。
そして、ある日を境に突然、メッセージが止まった。
【最後の1通】
最後に届いたのは、日付が変わる直前のメッセージだった。
《もし君が俺を見つけたら、次は君の番だ。》
スクリーンショットを撮ろうとした瞬間、画面が真っ暗になり、
再起動後にはそのメッセージだけがスマホから完全に消えていた。
【今も時々、通知音が鳴る】
あれから1年以上経つが、浩平は見つかっていない。
警察もすでに「自発的な失踪」の可能性で処理しようとしている。
だけど、深夜0時近くになると、スマホが勝手に震えることがある。
通知はない。画面も光っていない。
でも、俺は知っている。
たぶん、今もあっちから何かを送ろうとしてるんだ。
そして、俺の名前も——あの世界に届いてしまったのかもしれない。
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