目次
■1. 放課後の寄り道
小学5年生の春。
友達のカズトと僕は、放課後に遠くのショッピングモールまで路線バスで出かけた。
目的は、カードショップの限定パック。
買い物を済ませた後、夕方には帰るつもりだった。
ところが、帰りのバスでちょっとした冒険心が出て、
「こっちのルートから帰ったら近道かも」と、普段と違う便に乗ってしまったんだ。
■2. 乗客が減っていく
乗ったときは数人いた乗客も、停留所を過ぎるたびにどんどん降りていき、
やがて車内は僕ら2人だけになった。
「そろそろ降りる?」とカズトが言ったそのとき、
窓の外に違和感を覚えた。
見覚えのある団地やスーパーが、全部“古びた廃墟”のように変わっていた。
草は伸び放題、看板は朽ちかけ、どこにも人の姿がない。
■3. バスの運転手
「なんか変じゃね……?」とカズトが言った瞬間、
前方から運転手の声が聞こえた。
「次は、終点。降りる方はブザーを押してください。」
けれど、その声がどこかおかしい。
機械のようで、でも人間のような、濁った低い声。
そして、運転席の背中が微動だにしない。
ミラーに映った運転手の顔は、顔ではなかった。
黒い影のような塊で、目も鼻もなかった。
■4. 窓の外に広がる“世界”
車内の照明がチカチカと点滅し始め、
窓の外は、完全に現実ではない風景に変わっていた。
空は真っ黒で、無数の光が蠢いている。
道は無限に続く螺旋階段のように折れ曲がり、
建物はすべて宙に浮いていた。
そのどれもが、静かすぎるほど静かだった。
音がないのに、耳鳴りのような違和感だけが続いている。
■5. 帰ってこられた理由
次の停留所が近づいたとき、
カズトがとっさにブザーを押した。
ガタン、と音がしてドアが開き、僕たちは慌てて飛び降りた。
気がつくと、見慣れた駅前のロータリーに立っていた。
乗っていたはずのバスは、音もなく消えていった。
あのとき、あのバスにそのまま乗っていたら──
僕たちは今も、あの世界の中をぐるぐる回り続けていたのかもしれない。
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