これは、大学時代に実際に体験した「住み込みバイト」での出来事です。
バイトの内容自体は単純でした。山中にある水源地の監視小屋で、設備に異常がないかを定時に確認するだけ。
条件は良く、月20万円に食費・光熱費込み。面接も即採用でした。
ただし、面接官がひとつだけ念を押してきたのを今でも覚えています。
「夜中、誰が来ても絶対に小屋の外には出ないでください」
目次
【1. 山奥の監視小屋】
監視小屋は2畳半ほどのプレハブで、最低限の生活設備しかありませんでした。
電波も通じず、ラジオと懐中電灯が唯一の娯楽兼防災アイテム。
昼間は静かで、鳥の声と風の音しか聞こえません。
不便でしたが、読書がはかどる環境だと思っていました。
ただ、夜になると一変します。
【2. “足音”が近づいてくる】
初めての夜。
深夜1時ごろ、寝ようと明かりを消した瞬間、小屋の外でザッ……ザッ……という足音が聞こえました。
熊か鹿かと思って固まっていたら、今度はコン、コンと小屋の壁を軽く叩く音。
すぐにラジオをつけ、布団にもぐり込むようにして朝を待ちました。
外には出ませんでした。面接官の言葉が頭に残っていたからです。
【3. 二夜連続の訪問】
翌晩も、まったく同じ時間に足音が近づいてきました。
そして——今度は扉のすぐ外から、「いるんでしょう?」と囁くような声が聞こえたのです。
私は電気が消えた部屋で息を殺し、声が去るのをただ待つしかありませんでした。
時計の針が2時を回るころ、ようやく足音が遠ざかりました。
【4. 最後の夜】
バイトは1週間だけの契約。
5日目の夜、ついに私は限界を迎えました。
また足音がして、「開けて」と女の声が繰り返されたとき、
どうしても確認したくなってしまったんです。
ドアスコープはありません。
そっと、窓の隙間から外をのぞいた瞬間——
真っ白い顔だけが、こちらを覗き返していた。
目と目が合った瞬間、笑ったのか、口元が大きく裂けました。
【5. バイトの終了と忠告】
バイトが終わり、引き継ぎのために来た職員にあの出来事を話すと、
彼はふっと真顔になり、こう言いました。
「……誰が来ても、外に出るなって言いましたよね?」
そして、最後にこう付け加えました。
「ここに住み込みで入った人で、“外に出てしまった人”は、戻ってこないんです」
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

