目次
■1. 人身事故で止まった電車
その日、私はいつものように通勤ラッシュの電車に乗っていました。
ところが途中駅で「人身事故の影響により運転見合わせ」とのアナウンス。
車内で30分以上足止めされた後、仕方なく駅のホームに降りました。
夏の朝の強い日差しの中、人々はスマホを見たり、ぼんやり座ったりしていた。
私はふと、反対側のホームの奥に目を向けました。
■2. ホームの向こうに現れた“景色”
そこには、普段なら見えるはずのない開けた景色が広がっていました。
ホームの先にある壁が消え、代わりに果てしない草原と赤紫色の空が広がっていたんです。
風が吹いているようで、遠くの草がゆっくりと波打っていた。
だが、音は一切なかった。
そしてその草原を、無人の列車のような何かが滑るように通っていく。
それは線路の上ではなく、空中を浮かびながら進んでいるように見えました。
■3. 誰も気づいていない
不思議だったのは、その風景が見えていたのは私だけのようだったことです。
周りの誰も、そちらを見ようとしない。
まるで“それ”が、私にしか映っていないもののように。
我に返ってスマホを取り出して撮影しようとしましたが、
カメラを向けた瞬間、画面にはただのコンクリートの壁しか映っていませんでした。
■4. 消えた景色
一瞬、踏切の音のような「カン…カン…」という音が聞こえた気がした瞬間、
その風景はふっとテレビの電源を切るように消えて、いつもの見慣れた景色に戻っていました。
何事もなかったように電車が再開され、私は会社に向かいました。
■5. あれは、何だったのか
もちろん誰にも言えませんでした。
言っても「寝不足で変なものを見たんだろ」と言われるのがオチです。
でも──あの朝、確かに私はこの世界ではない風景を見た。
それ以来、たまに駅のホームに立つと、同じ場所をじっと見つめてしまう自分がいます。
次に見えたとき、乗ってしまいたいと思ってしまいそうで、怖いんです。
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