目次
いつも通りの朝だった
これは、去年の秋ごろに体験した話です。
特にこれといった異変はなく、
朝、いつも通りに目覚ましが鳴り、顔を洗い、朝食を摂り、
同じ時間の電車に乗って会社へ向かいました。
ただ、その日の帰り道、駅の売店でいつもと違う行動をとったことで、
すべてが変わり始めました。
きっかけは“間違えた選択”
会社帰りに立ち寄った駅の売店で、何気なく缶コーヒーを買った。
いつもはブラックを選ぶのに、その日は手が勝手に微糖の缶を取っていた。
「まあ、たまにはいいか」
そう思って飲んでみた。
すると、口に広がった味が妙に“懐かしいような、でも知らない味”で、
喉を通った瞬間、ぞわっと全身に鳥肌が立った。
「……これ、飲んだことないのに、なんで知ってる感覚がある?」
その夜から、少しずつ日常が“ズレ”始めた。
自分の記憶とズレる現実
翌日、会社で同僚に「昨日のメール、ありがとう」と言われた。
だが、メールを送った記憶がまったくない。
スマホを確認すると、確かに自分のアカウントから送信されていた。
休日に立ち寄った古本屋では、
初めて来たはずなのに、店主から「また来てくれたんですね」と笑顔で言われた。
しかも、レジ横にあった文庫本に、自分の名前がメモ書きされたしおりが挟まっていた。
怖くなって、母に電話した。
「俺、最近変な感じがしてて……自分が自分じゃない気がするんだ」
すると母は少し沈黙してからこう言った。
「小さい頃から、時々そんなこと言ってたのよ。“本当の自分は違うところにいる”って」
鏡の中の“違和感”
決定的だったのは、風呂上がりに鏡を見たときのこと。
鏡の中の自分は確かに“自分の顔”をしていた。
でも、どこかが違う。
口元の笑いジワ、目の奥の光、頬の肉付き——
すべてが、ほんのわずかに“自分じゃない”。
それを見た瞬間、ようやく気づいてしまった。
「これは、俺じゃない。“俺をなぞっているだけの、何か”だ。」
それでも、世界は続く
今も、普通に仕事をして、誰とも変わらぬ顔で生活している。
誰も、僕の中で起きている変化に気づいていない。
でも、確かに“自分が自分じゃない”という感覚は日に日に強くなっている。
今ここにいる“俺”は、いったい何なのか?
あの微糖のコーヒーを選んだ瞬間から、
本当の“俺”は、もしかしたらどこか別の世界に取り残されているのかもしれない。
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