目次
【何も変わらないはずの日だった】
それは、どこにでもある普通の朝だった。
目が覚めて、いつも通りの時間にシャワーを浴び、食パンを焼き、スーツに袖を通す。
スマホの通知を確認しながら、会社へ向かう。
何もおかしいことなんてなかった。
——あの瞬間までは。
【“あるきっかけ”】
会社の近くにあるビルのガラス壁。
出勤中、そのビルの前を通り過ぎるとき、ふと何気なく自分の姿が映った反射を見た。
ほんの一瞬、それを見て——
「違う」と感じた。
何が違うのか、言葉にはできなかった。
顔も髪型も服装も、いつも通りのはずだった。
けれど、“違和感”だけが強烈に残った。
ガラスに映っていた自分は、確かに「俺」だった。
でも、“俺じゃなかった”。
【誰も異変に気づかない】
その日、同僚とも上司とも普通に会話した。
みんな、私を“私”として扱ってくる。
けれど、自分の中では、何かのズレがずっと響いていた。
会話をしていても、自分の声が“他人の声”のように聞こえる。
キーボードを打つ指が、自分のものではないような感覚。
頭では「自分がやっている」とわかっているのに、
それをどこかで眺めているような視点が生まれてしまった。
【眠っても戻らない】
「疲れてるだけだろう」と思って、
その日は早めに仕事を切り上げ、家でゆっくり休むことにした。
でも、ベッドに横になっても、まぶたの裏に“自分じゃない自分”の顔が浮かぶ。
眠りに落ちる瞬間、自分の体がずっと遠くにあるような——
“乗っている”だけのような感覚。
【鏡の前で確信した】
翌朝、洗面所で顔を洗って、鏡を見る。
自分の顔を見て、心の中でふと疑問が浮かんだ。
「この顔、本当に“俺”だったか?」
自分の記憶も人生も、何も失っていない。
なのに、鏡に映るその顔は——どこか、演じている仮面のように感じる。
【他人の中で演じ続ける感覚】
あれから数週間が経つ。
仕事もしているし、友人とも会っている。
誰からも「変わった」なんて言われたことはない。
でも、自分だけが、“自分である”という確信を失い続けている。
この皮膚も、この声も、この名前も、
まるで借り物みたいに感じる。
“自分の中にいたはずの“自分”が、
いつの間にか**外側にずれている”ような——そんな毎日が続いている。
誰かが気づいてくれることを願いながら、
今日もまた、「自分」を装って生きている。
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