——地元で語られない木と、不思議な午後の話
目次
■ あの木は、いつからあったのか
地元の小さな神社の裏手に、一本だけ異様に大きな木が立っています。
杉かクスかもよくわからない、幹は太く、枝ぶりも広く、まるで森の主のような存在感。
小学生の頃から見ていたはずなのに、なぜかその木の「記憶がない」ことに気づいたのは、二十歳を過ぎた頃。
ある帰省の夕方、散歩中にその木の前で足を止めました。
どうしても、「この木、昔からあったっけ?」という違和感が消えなかった。
■ 木の中に「穴」がある
その木には、胸の高さほどの位置に楕円形の穴が開いていました。
まるで動物が巣にしていたような、自然にできたものにも見えましたが……
妙に綺麗な円形で、内側にはなめらかに磨かれたような光沢があった。
ふと、手を伸ばして中を覗いた瞬間。
——中には、別の世界が見えていた。
■ 穴の中の風景
木の内部は暗いはずなのに、覗き込むとそこには見たことのない風景が広がっていました。
苔むした大地に、灰色の空。
無音。風も鳥もいない。
そして、その中央に——
もう一本、全く同じ大木が立っていた。
自分が立っている場所を、“向こうから覗いている何か”の視点で見られているような感覚。
その瞬間、背中に冷たい汗が流れました。
■ 声をかけられた
「見ちゃったの?」
突然背後で声がした。
振り返ると、近所に住む80代の女性が立っていた。
「あの木、あんたも気づいたのね。あれ、人を選ぶのよ」
その女性いわく、「見た者は、何かを“返す”ことになる」と言う。
「……昔、私の兄も覗いたの。でもその数日後、何も言わずにいなくなったのよ。」
■ あれ以来
あれから、その木の穴は二度と開いていません。
不思議なのは、他の人に話しても、「そんな木あったっけ?」と返されること。
写真を撮ろうとしても、いつもブレて写らない。
でも私は確かに、あの大木の中で別の世界と繋がっていた瞬間を見たんです。
もう一度行こうとは思いません。
なぜなら、向こうの世界にあった木の穴の中にも——“私の姿”が見えていたから。
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