目次
■1. 何も起こらなかった夜のはずだった
大学時代の友人・ユウスケは、いわゆる“肝試し”が大好きなタイプだった。
地元でも有名な心霊スポット、廃トンネル、首無し地蔵のある神社──
誘われたけど、俺は一度も一緒に行ったことがない。
そんなユウスケが、夏休みにひとりで山奥の神社跡に行ってきたと言ってきた。
「なーんも出なかったよ。マジで拍子抜けだった」
そう笑っていたけど──
あの夜を境に、ユウスケの“声”が、ほんの少し変わった。
■2. 違和感の始まり
最初は気のせいかと思った。
声のトーン、話し方、言葉の選び方。
たった数日で“クセ”がまるで変わったような違和感があった。
昔からよく言っていた口癖、「〜っしょ?」を一切言わなくなった。
笑い方も変わった。前は「フッ」と鼻で笑うのに、今は喉を鳴らすような乾いた笑い方をする。
しかも、目を合わせなくなった。
■3. ユウスケじゃない?
ある日、サークルの集まりで写真を撮ったときのこと。
その集合写真を見て、ゾッとした。
ユウスケの顔だけがピントが合っていないようにぼやけていた。
良く確認したけど、他の人はハッキリ写っているのに、
ユウスケだけが、まるでそこに存在していないような写り方だった。
「あれ?お前ちょっと顔違わない?」とふざけて言ったら、
ユウスケは無表情のまま言った。
「……やっぱバレるか。」
■4. “戻ってきた”本人
1週間ほどして、ユウスケからLINEが来た。
「ごめん、最近連絡できなくて。熱出て寝てたわ」
その後、久しぶりに会ったユウスケは、元の彼に戻っていた。
話し方も、口癖も、笑い方も。
俺はあえて聞かなかった。
「こないだ会ったお前、別人みたいだったよ」なんて、軽く話せる内容じゃなかった。
でも、ユウスケが何も覚えていないようだったのが、逆にリアルで怖かった。
■5. あれは誰だったのか
結局、ユウスケが行った神社跡がどこだったのかも分からずじまいだった。
本人も「場所はナビで適当に行ったから忘れた」と言っていた。
ただ──あの数日間、
俺たちと一緒に笑って、喋って、写真に写っていたのは本当にユウスケだったのか?
それとも、“何か”がユウスケの形を借りていたのか。
今でも、あの集合写真は消せずにスマホに残っている。
ピントの合っていないユウスケの顔だけが、ずっと気味悪く笑っているままなんだ。
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