これは数年前、大学時代の親友・Hに起きた、どうにも説明のつかない出来事です。
当時、私たちは同じサークルに所属していて、ほぼ毎日顔を合わせていました。Hは明るく、少しお調子者で、怖い話や心霊ネタが大好きなタイプ。
そんな彼が、ある心霊スポットに行った日を境に、様子が変わっていったのです。
目次
【1. 心霊スポットへ向かった夜】
それは梅雨入り前の金曜の夜。
Hから「地元で有名なトンネルに行ってくる」と連絡が来ました。
そこは、廃道になった山中のトンネルで、“車に乗ったまま通ると女性の声が聞こえる”という噂のある場所。
彼は、仲間数人と深夜にそこを訪れ、動画も撮るつもりだと笑っていました。
その晩は、特に何も起きず、帰宅後に「特にヤバいことはなかったよー」とLINEも来ました。
私は軽く流し、翌週のゼミでまた会うつもりでした。
【2. いつものHと、どこか違うH】
月曜の昼、ゼミ室に来たHを見た瞬間――言葉では説明できない違和感を覚えました。
服も髪型もいつも通り。笑い方も同じ。でも、目だけが違った。
まばたきのタイミングが妙に遅く、たまに誰もいない場所をじっと見ていることがあったんです。
「お前、寝不足?」と聞くと、「まぁね」と笑った。
けどその笑顔も、どこか“借り物”のような気がしました。
【3. 会話が少しずつ噛み合わなくなる】
それからというもの、Hとの会話がわずかにズレるようになっていきました。
たとえば、共通の友人の話をしても、「ああ、そんなやついたっけ?」と首を傾げる。
一緒に行った合宿の話題も、「俺、行ってたっけ?」と真顔で言う。
そして極めつけは、心霊スポットの話を再び振ったときのこと。
「この前行ったトンネル、あれどうだった?」
するとHは一瞬黙り、こう答えました。
「……俺、そんなとこ行ったっけ?」
【4. 動画の中の“H”】
後日、Hと一緒に行ったという別の友人から、例の夜のトンネル動画を見せてもらいました。
画面には、運転席でふざけるHの姿が映っていました。
しかし、トンネルの中を抜ける直前、突然画面がノイズ混じりになり、Hの顔が一瞬“ぐにゃり”と歪んだのです。
それ以来、Hはほとんど大学に来なくなり、連絡も取れなくなりました。
SNSもすべて削除され、消息不明になったままです。
【5. それでも、どこかで】
今でもふと、駅のホームや人混みの中で、Hに似た後ろ姿を見かけることがあります。
でも、声をかけようとすると、決まって見失う。
もしかしたらあの時、心霊スポットに行ったのは“本当のH”で、
いま私たちが記憶しているのは“Hに似た何か”だったのかもしれません。
ただの思い過ごし。きっとそうです。
でも、あの日からHは少しずつ消えていったように思えてなりません。
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