目次
【通勤ルートでの異変】
これは、通勤電車を使っていた頃に体験した出来事だ。
毎朝、6時40分に家を出て、最寄り駅から3駅先の乗り換え駅まで10分。
車内はそこそこ混んでいるが、顔ぶれもだいたい同じで、
日常の繰り返しという安心感があった。
だけど、ある日を境に、奇妙な存在が現れるようになった。
【見覚えのない“赤い人”】
最初に気づいたのは、駅のホームだった。
6時58分発の電車を待っていると、反対側のホームに全身真っ赤な服を着た人物が立っていた。
上下とも赤。スニーカーまで赤。顔はマスクで隠れていて表情は見えない。
(あんな服装で出勤する人なんているんだ…)と思いつつ、
その日は気にせず電車に乗った。
が、翌朝も同じ時間、同じ場所にいた。
しかも、こちらをじっと見ているように感じた。
【日を追うごとに近づいてくる】
数日間は、同じホームの同じ位置に立っていたその“赤い人”だったが、
1週間ほど経つと、駅構内ですれ違うようになった。
エスカレーターの下りと上りで目が合ったとき、
なぜか背筋に冷たいものが走った。
ただ目が合っただけなのに、「知っている人に会ったような錯覚」を覚えたのだ。
でも、誰だったか思い出せない。
【ついに同じ車両に乗ってきた】
そしてある日、6時58分の電車に乗ると、
ドアの前に立っていたのがあの“赤い人”だった。
周囲の誰も、彼に対して何の反応もしていない。
まるで、その人だけが透明人間になっているかのように。
私はそっと離れた場所に立ったが、
次の駅に着いても、その人は一歩も動かず、ただ前を見つめていた。
【変化した朝の風景】
その日を境に、毎朝の景色が微妙に変わっていった。
電車の窓に映る風景が、いつもより少しだけ“古い”ように感じる。
新しく建てられたはずのマンションが工事中に戻っていたり、
見慣れた看板が、昔の店のロゴに変わっていたりする。
でも、他の人に聞いても
「え、前からそうだったじゃん」と返される。
唯一、自分の感覚だけが“以前の現実”と食い違っている。
【最後に見た“赤い人”】
ある朝、改札を出るとすぐ、赤い人が目の前に立っていた。
すれ違いざま、無言でこちらの腕をつかんできた。
「……もう、君はこっちの人間でしょ?」
その声だけが、はっきり耳に残った。
驚いて振り返ると、もう姿はなかった。
【今も少しずつ違う世界で】
それ以来、駅にも、電車にも“赤い人”は現れない。
けれど、今でもときどき、
街の看板やニュースの表記が、ほんの少しだけ前と違って見える。
例えば、「祝日」が平日になっていたり、
会社のロゴが微妙に変わっていたり。
でも、周囲に聞いても、
「最初からそうだった」としか言われない。
あの日、“赤い人”とすれ違った瞬間に、
自分はどこか別の“似た世界”に移動したのかもしれない。
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