怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

スピリチュアル占い師が最後に言いかけた言葉 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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——“当てすぎる”占いには、何かがついてくる

■ 軽い気持ちで行ったスピリチュアル占い

彼氏と別れたばかりの頃、SNSで見つけた「当たりすぎて怖い」と評判のスピリチュアル占い師に会いに行った。

場所は都内の古い雑居ビルの一室。
カフェの奥を間借りしているような、小さな空間だった。

50代くらいの女性で、穏やかな口調と落ち着いた目が印象的だった。

■ 恋愛占いのはずが

私はただ、次にいい出会いがあるかを聞きたかっただけだった。

けれどその占い師は、何も聞かずにこう言った。

「彼、急に連絡取れなくなったわね」
「最後のLINE、スタンプだったでしょう?」

——全部当たっていた。

鳥肌が立ちそうになったが、怖いほどに当たることが心地よくもあった。

■ 突然の“視えてはいけない話”

15分ほどで恋愛の話が終わり、「ありがとうございました」と立ち上がろうとした瞬間、

占い師が急に表情を変えて、低く言った。

「あなた、後ろのもの、最近増えてるね」

私が凍りついたのを見て、彼女は続けた。

「3人いる。……あ、1人はもう知ってるんじゃない?」

その時思い出したのは、小学生の頃から時々見る“同じ夢”。
暗い部屋の隅に立っている、顔のない女の夢。

誰にも話していないはずだった。

■ 占い師の最後の言葉

帰ろうとした私に、占い師が一枚の紙を手渡した。

「これ、捨てないで。……何かあった時、名前を読めば来るかもしれないから」

紙には、読めない古い文字のようなものが書かれていた。

その瞬間、占い師が急に顔をしかめて、私を見ずに何かを凝視した。

「……うそ。これ、あなたの“外”にいるの?……しまっ——」

言い終える前に、電気が一瞬だけバチッと消えた。

次に彼女が顔を上げた時には、もう何も言わなかった。

ただ「帰って」とだけ。

■ それから

あの占い師には、二度と連絡がつかなかった。
店の電話は解約され、SNSのアカウントも削除されていた。

例の紙は今も財布に入れたままだけれど、たまに、それがほんのりと熱を持つことがある。

“名前を呼べば来る”。
でも、それが誰なのか、私はまだ確かめていない。

呼ぶべきか、呼んではいけないのか。



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