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スピリチュアル占い師に言われた“見えてはいけないもの”の話 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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これは、2年前、当時付き合っていた彼女に連れられて訪れた占い師のもとで体験した、今も忘れられない出来事です。
占いやスピリチュアルにはまったく興味のなかった私ですが、あの日以来、「知らないままの方が良かったこともある」という言葉の重さを理解するようになりました。

【1. スピリチュアル専門の“よく当たる”占い師】

その占い師は、都内の住宅街にひっそりとある古民家で開業しており、完全予約制。
口コミで「怖いほど当たる」と噂され、占いというより霊視に近いという評判でした。

私は彼女の“誕生日プレゼントに一緒に行って”という頼みに負けて、付き添いのつもりで行きました。

部屋に入ると、70代くらいの小柄な女性が穏やかに迎えてくれました。
笑顔は優しげでしたが、目だけが異様に澄んでいて、視線を合わせるのが妙に怖かったのを覚えています。

【2. 「あなたの後ろに」】

彼女の占いが終わった後、「せっかくだから、あなたもどう?」と勧められました。
軽い気持ちで座った私に、占い師はろうそくの火を見ながら、少し黙っていました。

そして突然、こう言ったのです。

「……あなた、後ろに“つれて”いますね。」

何を、とは言いませんでした。
でもその言葉を聞いた瞬間、全身に冷水をかけられたような感覚が走りました。

【3. 帰宅後に起きたこと】

その日の夜から、部屋の空気が妙に重たく感じるようになりました。
テレビの音が歪み、壁から小さなノック音が聞こえる。
スマホの画面には時々、うっすらと黒い“シミ”のようなものが映り込むようになったんです。

さらに数日後、あの占い師から彼女を通じて伝言がありました。

「あの方、“視えてしまった”から、もうごまかせないの。できるだけ、関わらないように」

私が“何を”見たのか、あるいは“何に”見られたのか。
一切、答えは教えてくれませんでした。

【4. その後】

半年ほどで、それらの現象は徐々に消えていきました。
ただ、それ以来、街中でふと視線を感じることが増えたのは確かです。

そして不思議なのは、あの占い師の場所を後から調べても、どこにも情報が残っていなかったことです。
口コミも、Googleマップも、彼女が記録していたLINEすらも消えていました。

彼女は、「……あの人、最初からこの世の人じゃなかったのかも」と呟きました。
今となっては確かめようがありません。

でもあの夜、確かに私の背後にいた“何か”を見たあの目のことは、今も忘れられません。



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