——夜の公園で出会った、目を離せなかった存在
目次
■ 静かな夜の散歩
ストレスが溜まると、夜に近所の公園を散歩する癖がある。
人も車もいない静かな時間帯が、何となく気持ちを落ち着かせてくれる。
その日も0時を回った頃、住宅街を抜けて公園へと向かった。
秋の気配が漂う夜で、空気はひんやりしていたが気持ちよかった。
公園に着いた時、遠くの芝生の上に白い何かが動くのが見えた。
ライトを向けると、それは——うさぎだった。
■ 公園の“うさぎ”
野良のうさぎなんて、都内で見たことがない。
けれどそれは、間違いなく真っ白なうさぎで、まるで誰かに飼われていたようなきれいな毛並みだった。
不思議と警戒心もなく、じっとこちらを見つめて動かない。
少し近づくと、ピョンと数歩下がって、また止まる。
まるで「ついてきて」とでも言っているように。
■ 連れて行かれた先
うさぎは公園の奥、立ち入りが制限された裏手の林の中へと進んでいった。
立て札には「関係者以外立入禁止」と書いてあったが、うさぎを見失いたくなくて、思わず足を踏み入れた。
薄暗い林の奥、ぽっかり開いた空間に出た。
そこには、石で囲まれた小さな祠のようなものがあった。
そして、その祠の前に、さっきのうさぎが座っていた。
祠の扉は開いていて、中には何もなかった。
……いや、よく見ると、うさぎの形をした石像が置かれていた。
その石像は、まるで私を見下ろしているような鋭い目をしていた。
■ 気づくと、いなかった
一瞬目を逸らして振り返ると、白いうさぎの姿は消えていた。
慌てて林の外へ戻ると、空気が一変していた。
——空が白み始めていた。
腕時計を見ると、たった15分しか経っていないはずなのに、朝の5時を過ぎていた。
■ あれは何だったのか
数日後、公園の管理課に電話してみたが、
「動物園も近くにないし、野うさぎの報告もありませんね」とのことだった。
さらに、林の奥に祠などないと言われた。
……でも、あの時撮ったスマホの写真には、ぼんやりと白いうさぎが映っている。
そのうさぎは、私の方ではなく、スマホの奥——つまり“画面の向こう側”を見ているように感じられた。
まるで、誰かに合図を送っているように。
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