目次
■1. 地元に帰ったある日
これは、去年の夏、久しぶりに地元に帰省したときの話です。
実家に戻ったのは5年ぶり。
特に理由があったわけではなく、親に顔を見せるくらいの軽い気持ちでした。
夕方、ふと散歩がてらに昔よく遊んでいた裏山の方へ足を伸ばしたんです。
その道の途中に、小さなT字路があるのですが、なぜかそこの左の道が封鎖されていた。
木の板と古びたロープで、雑にふさがれていたけれど、立ち入り禁止の札などはなし。
子供の頃は普通に通れた道だったのに──
■2. “何かあったのか”と尋ねると
その晩、母に「あの道、なんか通れなくなってたけど、何かあったの?」と聞いてみました。
母は一瞬だけ手を止めて、視線を落とした。
そして小さくこう言いました。
「……何かが、あったのよ」
それ以上、何を聞いても濁されるだけだった。
「昔、あそこで誰か亡くなったとか?」
「違うの。そういうんじゃないの。ただ、“あった”の」
■3. 夜中に目が覚めた理由
その夜はなんとなく寝つけなかった。
ふと目が覚めると、午前2時。
喉が渇いてキッチンへ向かったとき、玄関の方からかすかに音がした。
「キィ……キィ……」と、木が軋むような音。
そっと覗くと、誰もいない。
でも、靴が一足、泥だらけの状態で並べられていた。
履いた覚えもない、古びたスニーカー。
まるで誰かが“今帰ってきた”ような気配だけが、そこに残っていた。
■4. 子どもの頃の記憶
翌朝、なんとなく昔のことを思い出そうとして、古いアルバムをめくっていた。
小学生の頃、友達とあの裏山で遊んでいる写真。
ふと気づいた。写真の隅に、ぼんやりと誰かが立っている。
木の陰からこちらを見ている、表情のわからない人物。
服装は現代のものではない。顔も、どこか歪んでいた。
(あれ……この時って、誰と一緒に遊んでたんだっけ?)
写真の中には、記憶にない人物がもう一人写っていた。
■5. あの道に“何かがあった”
それから実家を離れて1年近く経ちますが、
あの道のことは、未だに気になっています。
誰も語らず、何も説明されず。
でも、確かに母は言いました。
「何かがあったのよ」と。
あの夜の靴、アルバムの中の人物、
全部が“なかったこと”にされている気がしてならないんです。
でも、それでいいとも思っている。
きっと、あそこには“触れてはいけない何か”があった。
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