大学生の田中翔太は、心霊現象に興味がありました。彼は友人たちと心霊スポットを訪れることが趣味で、その度にカメラを持参し、心霊写真を撮るのが常でした。彼のコレクションには、さまざまな不気味な写真がありましたが、ある日、翔太は特に異様な写真を手に入れることになりました。
その日は夏の夜、友人の一人が知り合いから聞いたという廃病院に行くことになりました。廃病院は市の外れにあり、夜になると薄暗く、建物全体が不気味な雰囲気を漂わせていました。翔太と友人たちは、懐中電灯を持ち、慎重に病院内を探索しました。
廃病院の中は、朽ちた壁や崩れかけた天井、散乱した医療器具があり、まるで時間が止まったかのようでした。翔太はカメラを構え、廊下や部屋の様子を次々と撮影していきました。途中、友人たちが「ここで幽霊を見た」という噂がある病室にたどり着きました。
その病室は、特に冷たい空気が漂っており、翔太はその場所の異様な雰囲気を感じ取りました。カメラを構えてシャッターを押すと、突然、カメラが異常に重くなり、手が震えました。翔太は何とか写真を撮り終えましたが、その時、背後から誰かの気配を感じました。振り返ると、誰もいませんでしたが、冷たい汗が背中を伝いました。
探索を終えて帰宅した翔太は、撮影した写真を確認しました。ほとんどの写真は普通の廃病院の様子が写っていましたが、最後に撮った病室の写真だけが異様でした。その写真には、ぼんやりとした白い影が写り込んでいました。よく見ると、それは女性の姿をしており、悲しげな表情を浮かべていました。
翔太はその写真を見て驚きましたが、同時に興奮しました。これまでに見たことのない、明確な心霊写真だったからです。彼はその写真を友人たちに見せ、話題にしました。友人たちもその写真に驚き、恐怖と興奮が入り混じった感情を抱きました。
しかし、それから数日後、翔太の周囲で奇妙な出来事が起こり始めました。夜中に部屋の中で誰かの足音が聞こえたり、カメラが勝手に作動して写真を撮ったりすることが頻繁に起こるようになったのです。最初は心霊写真の影響だと信じていませんでしたが、次第にその可能性を考え始めました。
ある晩、翔太は眠れずにベッドで横になっていると、部屋の隅に人影を見つけました。その影は、例の写真に写っていた女性の姿そのものでした。影は静かに翔太の方を見つめていましたが、何も言わずに消えていきました。翔太は恐怖に震えながらも、その出来事を友人たちに話しました。
友人の一人が、「その写真を焼いた方がいいかもしれない」と提案しました。翔太は最初は躊躇しましたが、次第に不安が募り、その提案を受け入れることにしました。翌日、翔太は写真を持ってきて、友人たちと共にそれを燃やしました。写真は燃え尽き、灰になりましたが、翔太の心にはまだ不安が残りました。
後日談
写真を焼いてから数週間後、翔太は心霊現象が収まったと感じていました。友人たちも安心し、再び日常生活に戻りました。しかし、ある晩、翔太が家に帰ると、玄関に見覚えのある写真が置かれているのを発見しました。驚いて手に取ると、それは確かに燃やしたはずの心霊写真でした。
写真には、以前よりもはっきりとした女性の姿が写っており、その表情は以前よりも悲しげで、今にも泣き出しそうな顔をしていました。さらに、写真の端には血のような赤いシミが付いていました。翔太は恐怖に駆られ、その写真を再び処分しようとしましたが、何度捨てても、写真は必ず翌朝には戻ってきていました。
翔太は次第に精神的に追い詰められ、友人たちもその異様な状況を恐れるようになりました。最後には、翔太はその家を離れ、別の場所に引っ越すことを決意しました。しかし、どこへ行ってもその写真は彼を追い続けました。写真の女性は、まるで何かを訴えかけるように、彼を見つめ続けていたのです。
その後、翔太は突然に疾走しました。何の前触れもなく。友人たちは、彼が写真の呪いから逃れられなかったのだろうと噂し合いました。写真に写っていた女性の正体や、彼女が何を求めていたのかは、今でも謎のままです。ただ一つ言えるのは、その心霊写真は決して普通の写真ではなかったということです。そして、翔太が最後に友人たちへ残した言葉は、「もう逃げられない」というものでした。
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