田中雄介は、副業での書類整理の仕事を続けていた。以前見つけた「不思議な話」の原稿が彼の心に深く刻まれ、慎重に人生を歩むようになった。それ以来、彼は仕事の中で新たな不思議な書類を見つけることに興味を持つようになった。
ある日、彼は倉庫の片隅でまたもや奇妙な封筒を見つけた。封筒は古びていて、手書きの文字で「特別な商品広告」と書かれていた。興味を引かれた雄介は、封筒を開け、その中の書類を読み始めた。
目次
封筒の中身
奇跡の商品 - ドリームキャプチャー
人生を変える特別な商品、ドリームキャプチャー。これはただのインテリアではありません。このドリームキャプチャーは、あなたの夢を現実に変える力を持っています。
使用方法:
ドリームキャプチャーを部屋の中央に吊るしてください。
夜、寝る前に心から願う夢を思い浮かべてください。
ドリームキャプチャーがあなたの夢を捕らえ、現実に変えてくれます。
注意事項:
一度に一つの夢しか叶えられません。
夢が叶った後、ドリームキャプチャーは新たな願いを受け付けるまで一週間の休息期間が必要です。
この商品は非常に強力です。願いを叶える際には慎重に考えてください。
特別価格: 50,000円
雄介はその広告を読み終え、驚きと興味を覚えた。夢を現実に変えるという商品は、まるで魔法のようだと感じた。だが、彼は以前の教訓を思い出し、安易に手を出すべきではないと考えた。
しかし、その夜、彼はドリームキャプチャーのことが頭から離れなかった。もし本当にそんな力があるなら、人生を劇的に変えることができるのではないか。彼は深い思案の末、翌日その商品を購入することを決意した。
ドリームキャプチャーの試用
商品が届くと、雄介は指示通りに部屋の中央に吊るした。美しい装飾が施されたドリームキャプチャーは、静かな光を放っているように見えた。彼はその晩、心から願う夢を思い浮かべながら眠りに就いた。
「安定した収入と健康な生活を手に入れたい…」
次の朝、雄介は目覚めると、何かが変わったような気がした。仕事に行くと、突然上司から昇進の話を持ちかけられた。さらに、体調も良く、エネルギーに満ち溢れているのを感じた。まさに願いが叶ったのだ。
「ドリームキャプチャーは本当に効果があるのか…?」
雄介はその力に驚きと感謝を感じた。しかし、一方でこの力が本当にどのように働いているのかを知りたくなった。
一週間後、新たな願いを思い浮かべる時間が来た。彼は次の願いを慎重に考え、今度は「家族が幸せで健康に過ごせますように」と願った。再び、ドリームキャプチャーはその願いを捕らえ、現実に変えた。
数日後、家族からの連絡があり、両親が健康診断で問題なしと診断されたことを聞いた。妹も良い仕事に就くことができ、家族全員が幸せそうに過ごしていた。
しかし、ある晩、雄介はドリームキャプチャーに対する疑問を抱き始めた。願いが叶うたびに、何かが失われているのではないかと感じたのだ。彼の願いが叶う過程で、他人に何か影響を及ぼしていないか心配になった。
その疑問を解消するため、彼はドリームキャプチャーをもう一度よく調べてみることにした。すると、裏側に小さな文字が刻まれているのを見つけた。
「願いを叶える代償は、他の誰かの小さな幸せ。」
雄介はその文字を見て衝撃を受けた。彼の願いが叶うことで、誰かが小さな幸せを失っているのだ。それは道徳的に正しいことなのか、彼は深く悩んだ。
その後、雄介は仕事にさらに力を入れ、副業の書類整理も続けた。彼はドリームキャプチャーの存在を心に留めながらも、自分の努力と力で人生を切り開く決意を新たにした。
未来への希望
雄介の生活はに安定していった。副業により収入も増え、家族との関係も良好だった。ドリームキャプチャーの力に頼らず、自分の力で得た成果に満足していた。
そして、ある日、彼は再び倉庫で書類を整理していると、新たな封筒を見つけた。その封筒には「新たな希望」と書かれていた。雄介は封筒を開け、その中の書類を読み始めた。
その書類には、特別な商品やサービスに頼らず、自分の力で夢を実現する方法について書かれていた。雄介はその内容に共感し、自分の決断が正しかったことを確信した。
彼はその後も努力を続け、さらに多くの目標を達成していった。そして、いつかまた特別な力が必要になる日が来たら、慎重に考え、自分の力で乗り越える覚悟を持ち続けることを誓った。
雄介の人生は、新たな希望と共に続いていった。彼は自分の力で未来を切り開くことの喜びと充実感を感じながら、これからも歩み続けるのだった。
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