怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

夜毎に迫る恐怖 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

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1日目 - 不気味な音

大学生の優太は、都会の大学に進学するために一人暮らしを始めた。アパートは古く、静かな住宅街にあったが、部屋の広さと家賃の安さが決め手となった。引っ越し初日の夜、優太は疲れ果てていたが、満足感に浸りながらベッドに入った。

夜が深まり、午前2時を過ぎた頃、不意に部屋のどこかからコツコツと不気味な音が聞こえてきた。最初は建物の古さによるものだと思い、気にしないことにしたが、音は規則的に続き、次第に大きくなっていった。優太はその音にイライラし、寝不足になることを恐れて起き上がり、部屋の中を調べた。

「どこから聞こえてくるんだ…」

音の出どころを探し回ったが、何も見つからなかった。しばらくすると音は止み、優太は再びベッドに戻った。音のことは気にしないようにし、なんとか眠りについた。

2日目 - 窓の向こうの影

翌日、優太は大学での授業を終え、帰宅した。夜になると、再びコツコツと不気味な音が聞こえ始めた。今度は音に加えて、窓の向こうに人影が見えるような気がした。カーテン越しに薄暗い影が揺れ動くのが見える。

「またか…でも、昨日の音とは違う…」

恐る恐る窓に近づき、カーテンをそっと開けた。しかし、外には誰もいなかった。ただの風でカーテンが揺れていただけだと自分に言い聞かせ、再びベッドに戻った。しかし、その夜はほとんど眠れず、薄明かりの中で朝を迎えた。

3日目 - 足音と囁き声

三日目の夜、優太は早めにベッドに入ったが、眠れないまま夜が更けていった。そして午前2時を過ぎた頃、再びコツコツと不気味な音が聞こえ始めた。音は次第に足音へと変わり、部屋の中を歩き回るような感じだった。さらに、耳元で囁き声が聞こえ始めた。

「優太…優太…」

恐怖で体が動かず、目を閉じて耐えようとしたが、足音と囁き声は止まらなかった。しばらくして、勇気を出して電気を点けると、音も声も一瞬で消えた。

「何なんだ…これは…」

翌日、優太は大学の友人に相談したが、「疲れてるんだよ、しばらく休んだほうがいい」と言われるだけだった。だが、優太はそれがただの疲れではないことを確信していた。

その夜、優太はお守りを手にしてベッドに入った。不安と恐怖で眠れないまま、夜が更けていった。午前2時を過ぎた頃、再び足音と囁き声が聞こえ始めた。

「優太…助けて…」

声は一層はっきりと聞こえ、足音もますます近づいてきた。優太は恐怖で震えながら、何とか立ち上がり、部屋中を見回した。窓を開け放ち、外の空気を吸い込むと、音も声も一瞬で消えた。

優太はその夜、一睡もできなかった。翌朝、彼は地元の神社に行き、神主に相談することにした。神主は優太の話を真剣に聞き、お祓いをすることを勧めた。

お祓いを受けた後、優太は再び部屋に戻った。その夜も、音や影、声が聞こえることはなかった。優太は安心して眠りについた。

しかし、あの三日間の恐怖は忘れることができなかった。何が起こっていたのかは分からないが、優太は二度とあのような恐怖を味わいたくないと思った。

あの恐怖の夜毎に迫る感覚は、今でも優太の心に深く刻まれている。友人や家族に話しても信じてもらえないが、優太自身は確かにあの恐怖を経験したことを忘れることができない。

大学を卒業し、社会人となった今でも、夜中にふと目が覚めると、あの時の恐怖が蘇ることがある。何度も振り返りたくない記憶だが、優太はその経験を通じて、目に見えないものの存在を信じるようになった。

そして今でも、寝る前には必ずお守りを手にしている。あの恐怖が再び訪れることがないように、毎晩祈りながら眠りにつくのだ。

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