目次
プロローグ
静かな山奥にある小さな村、霧峰(きりみね)。ここは、昔から不思議な出来事が頻発することで知られていた。村人たちは「不思議なポイント」と呼ばれる場所が存在すると信じており、その場所に行けばどんな願いも叶うと噂されていた。しかし、そのポイントに辿り着いた者は誰一人として戻ってこなかった。
第一章: 少年の願い
ある日、村の少年、涼太(りょうた)は病気の妹、杏(あん)を救うために「不思議なポイント」を探す決心をした。杏は重い病気にかかっており、村の医者たちも手を施すことができなかった。涼太は、妹を救うためにはどんな危険も冒す覚悟で山に入った。
第二章: 旅の始まり
涼太は、村の古老、徳次(とくじ)から「不思議なポイント」の伝説について詳しく話を聞いた。徳次は、ポイントに辿り着くには五つの試練を乗り越えなければならないと言った。試練とは、それぞれの者が抱える最大の恐怖や悩みが具現化するものであり、それを克服することができれば願いが叶うという。
「涼太、お前の決心は分かった。しかし、その道は危険だ。命を落とすこともある。それでも行くのか?」
涼太は力強く頷いた。「はい、どんなことがあっても杏を救いたいんです。」
第三章: 第一の試練
涼太は山の中に足を踏み入れた。最初の試練は「恐怖の森」だった。暗くて不気味な森の中を進むと、彼の周りには奇妙な影が蠢き始めた。彼は心の中に恐怖を感じながらも、妹のために一歩一歩前進した。
やがて、大きな黒い影が涼太の前に立ちはだかった。影は彼の心の中の恐怖を具現化したものであり、涼太はそれを乗り越えなければならなかった。涼太は深呼吸し、影に向かって強く叫んだ。
「怖くない!杏のために、僕は進むんだ!」
すると、影は消え去り、森の奥へと道が開けた。
第四章: 第二の試練
次に涼太が辿り着いたのは、「絶望の洞窟」だった。洞窟の中は真っ暗で、彼は手探りで進んだ。途中、彼の耳になぜか妹の苦しむ声が響いてきた。これも試練なのかと涼太はその声に心を痛めながらも、前に進むことを決意した。
洞窟の奥に辿り着くと、大きな岩が道を塞いでいた。岩には「絶望を乗り越えよ」と刻まれていた。涼太は岩を動かそうと試みたが、その重さに圧倒された。
「これ以上は無理だ…」と涼太が諦めかけたその時、妹の笑顔が脳裏に浮かんだ。彼は再び力を振り絞り、全力で岩を押した。すると、不思議なことに岩は軽くなり、道が開けた。
第五章: 第三の試練
涼太は「嘆きの湖」に辿り着いた。この湖は、心の中の悲しみや後悔が具現化する場所だった。涼太は湖のほとりで、過去の失敗や後悔の思い出が次々と浮かび上がってきた。
「僕がもっと早く杏を助けていれば…」と嘆きの声が響く中、涼太は心を強く持ち、過去を乗り越えることを決意した。
「過去を悔やんでも仕方ない。今、杏を救うためにできることをするんだ!」と叫び、湖を渡った。
第六章: 第四の試練
涼太は「憤怒の山」に辿り着いた。この山は、心の中の怒りや憤りが試される場所だった。山を登るうちに、彼の心には様々な怒りが湧き上がってきた。家族を妹を救えない自分への怒り、村の人々の無力さへの怒り…。
しかし、涼太は冷静にその怒りを抑えた。怒りに飲み込まれず、冷静に考えることが重要だと気づいたのだった。
「怒りに負けてはいけない。冷静さを保ち、前に進むんだ。」涼太はそう心に決め、山を越えた。
第七章: 最後の試練
最後に涼太が辿り着いたのは、「愛の谷」だった。この谷は、愛する者への思いやりや優しさが試される場所だった。谷の中央には美しい花畑が広がっており、その中央に一本の巨大な樹が立っていた。
涼太は樹の前に立ち、心の中で妹への愛を強く念じた。その瞬間、樹が輝き、彼の前に「不思議なポイント」への道が現れた。
エピローグ
涼太はついに「不思議なポイント」に辿り着いた。そこは、美しい泉が湧き出る神聖な場所だった。涼太は泉の前でひざまずき、心から願った。
「どうか、杏を助けてください。」
すると、泉が輝き、涼太の体に温かい光が包み込んだ。その光が消えると、涼太は自分が村の入口に立っていることに気づいた。
村に戻ると、杏は奇跡的に回復していた。村人たちは涼太の勇気と愛に感動し、「不思議なポイント」の伝説が本物であることを確信した。
涼太は、自分の経験を通じて学んだことを胸に、これからも村のために生きることを誓った。そして、「不思議なポイント」は、彼の勇気と愛の象徴として、村人たちに語り継がれていった。
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